王女と侍従の記

王弟エドワードの侍従、アウレリウス・リリエンタール。
彼は幼い頃より第三王子の乳兄弟として育ち、共に学び、共に剣を取り、いまや忠実なる影としてその歩みを支えている。

だが、皮肉なことに――
彼の婚約者は、王弟の姉であり、氷のごとき美貌と鋭い舌を持つ王女オクタヴィアだった。

開かれた国・リューネブルク侯国への留学。
帝国の間者との静かな攻防、そして戦火の予兆。
忠義と誇りの狭間で揺れる王弟と侍従。
遠く離れた王女は、冷たい手紙の行間に想いを隠し、彼を見守る。

――これは、王女と侍従の記。
王国の新たな時代の礎となった、静かな忠義と愛の記録である。