勇者見参! 3
翌日、目を覚ました彼らは朝食を取った後市場へと歩を進めている
要件としてはこの世界における歴史や伝統を勇者に知ってもらう為の教材の調達であったが、天華の気晴らしも兼ねて全員で護衛しながら向かう事になったが
「これ逆に目立ってないです?」
「目立ってるな」
「目立ってる」
ダーカー博士と共に楽しげに市場の商品を見回す天華ではあるが、それを他所に3人は並んで一つの懸念を述べていた
この街の3人のヒーローが勢揃いで街を散策しているのだ、目立たない訳が無い
だが彼女は言う
「寧ろそれで良いんだよ、注目浴びてた方が相手も手を出し辛い、特に今はね」
顔をクイッと動かせば、その方向へと目を向ける
そこは建物の屋根の上であり、見た事のある人影がいた
「あれ・・・茜さんに雫さん!?」
「もうちょっと声を抑えな、まぁこいつの護衛の為に派遣されたんだろうね」
「何であの2人が・・・?」
「あの2人だけじゃ無いよ、見てごらんあの隠れる気のない2人を」
先程から聞こえる喧騒の中で、一際目立つ聞き馴染みのある声
敢えて聞かぬフリをしていたがどうもその声の主達も護衛らしい
「これが良いじゃん!」
「良いや、こっちだね!お前は何にもわかっちゃいない!」
「あぁ・・・あの人たちも護衛だったんですね」
いつもの調子で仲良く喧嘩する2人の姿に、思わずトウヤは呆れた様な表情を浮かべ、セドは額に手を当てている
「全くあいつらは・・・」
そう言うとセドはラーザ達の元へと歩いていく
どうやら2人は言い合いに夢中で気がついておらず、店主はそれを見てオロオロしている
「もう少し静かにしてくれないか?」
近づいたセドがそう言うと、ラーザとシスの動きが止まりると、ゆっくりと振り返った
焦りの混じった顔で振り向けば、余程会いたくなかったのであろう歪んだ表情でセドを見つめる
「うわ、出たよ委員長」
「うわとはなんだうわとは」
「タイミング最悪ね」
「そもそも声を張り上げて騒ぐタイミングでも無いがな」
2人の言葉ひとつひとつに丁寧に反応していく
だが、それはオータムの時とは違う畏怖の感情というよりも、顔馴染みであるが故の気軽さを感じられるものだった
「お2人ともセドさんと知り合いなんですか?」
軽い気持ちでそう聞いてみれば、ラーザとシスが一気にトウヤの元へ近寄る
「おぉ、聞いてくれトウヤ!こいつ俺たちの同期なのにノリが悪いの何の」
「そうそう!何をするにしてもすーぐに為に入ってくるのよ」
「それはお前達が馬鹿をやっているからだろう、というよりも今回はここで何をしていたんだ?」
「あーあー・・・いやなぁ・・・な?」
「そーねー・・・そうねぇ・・・ね?」
呆れ返りながらもそう言うと、ラーザとシスは何処か言いにくそうにしだす
示し合わしたかの様に言葉を合わせ顔を見合わし、はぐらかそうとしてくる
「どうせお前達の事だ、あの店のネックレス、どれが似合うかの言い合いをしていたんだろ?」
「え!?い、いや別にそんな事・・・ねぇよ」
「そう、そうよ!そんな事な・・・いわよ」
どうも嘘はつけないタチらしい
「お前達、そういうのはフリーの時にやれ」
「うぅ・・・すまん」
「ごめんなさい・・・」
「第一に、お前達は今回の任務の事をちゃんとわかっているのか?」
「ヒーローと冒険者による勇者の護衛、敢えて外に出たのはもしもの為に応援を呼び易くするため、何処にいようと襲われるなら外にいた方が良いって事だね」
「合理的だね、私達のことをよくわかってる」
子供の声が聞こえる
1人は少年、1人は少女
無邪気な見た目でで邪気溢れる雰囲気を纏う歪な子供
それが、彼らの前に現れる
「変身」
『音声認識完了、エクスチェンジ!』
指を弾く音共に機械音声が聞こえ、風の刃が飛翔する
それは確実に現れた少年の首元に向け、その小さい頭を斬り落とさんと迫り
男児が軽く腕を振るい掻き消される
「何!?」
次いで間髪入れずにフィリアが手に持つダガーを上から振り下ろした
魔力を付与した持ち手から肘に掛けて伸びたトンファーの様な刃を突き立てる
「・・・!?」
「酷いや、急に攻撃してくるなんて」
「キチクゲドー」
突き立てられた刃の切先を指で掴み止めながら、双子はクスクスと楽しげに笑う
「それじゃお帰り」
ダガーを持つ腕が振られるとそれに釣られフィリアの身体は振り子の様に大きく振れ投げ飛ばされる
彼女の身体が地面にぶつかり小さく跳ねながら転がるが、次第に勢いが弱まるとすぐさま立ち上がり武器を構え直す
「無事か?フィリア」
貴族調の豪華で洗練されたスーツを見に纏うセドの言葉に、彼女は双子を睨みながら黙って頷く
「変身!」
『音声認識完了、アクシォン!』
横に並び立つ様に赤のヒーローが前へと出る
「あいつら・・・なんだよ」
「あれ?僕たちの事聞いてないの?」
「もうてっきりバレてるかと思ってたのに」
お互いの顔を見合わせながら、ねーと声を合わせ言う
その様子は何処にでもいる子供の様であったが、彼らから出る不気味な雰囲気にトウヤは冷や汗が止まらない
「トウヤ・・・あいつまずいぞ」
「雫と茜は?」
「屋根上にいたお姉さん達?それならほら」
ラーザとシスの焦り声に、少女が答える
指差した方向を見れば爆発音と共に砂煙が舞っているのがわかる
おそらく何かと戦闘している真っ最中なのだろう
「クソッ、やられた」
唇を噛み締め苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる
オータムもエオーネも任務で今この街にいない、だが出来る限りで準備はした
それでも届かない
歪む表情に双子は楽しげに笑い掛ける
「やられちゃったねー」
「でも、これからもっとやられるよ?」
「みんなー出ておいでー」
その声と共に3人の男女が双子の前へと出てきた
ローブを被った真ん中の人物は顔が見えず、それ以外の2人はその容姿から20代辺りであろうことがわかる
そんな彼らの顔が裂け身体が肥大化を始めた
変わりゆく身体は一度膨張し収縮する
顔は裂けたと思えば裏返り頭を形成した
いつもの異形とは違う、3体の人型をした怪人が姿を現わす
1体は一対のブレードを両手に装備した。貧民街でトウヤが戦闘したカマキリ型怪人の亜種の女性型
もう1体は道化師の様な白い下地に緑のペイント、緑の丸い鼻を持ち、先の尖った足や指、手首足首には麦色の体毛を生やした男性型
ローブを纏っていた者は二丁の拳銃を持つ、カウボーイ調の怪人へと変化していた
その光景にトウヤは身構え、セドとフィリアは緊張の汗を流す
「上級怪人か・・・」
上級怪人
それは下級怪人の様な異形の姿とは異なり、人型を保った姿をしている
下級怪人よりも魔法出力や人工筋肉の密度が上昇している強力な怪人であり、それが3体も出現したのだ
溢れ出る威圧感にトウヤは思わず息を呑む
上級怪人だけで言うのであれば対処はできる
だが、その後にはあの双子、ビヨロコとクーラが控えていた。トウヤには正体が分からないがもし彼らが加われば勝ち目はない事は未熟なトウヤでも無意識に理解できる
頼みの綱であった雫と茜は今なお続く爆発音から戦闘が続いている事がわかった
トウヤ達の間に緊張の糸が張り詰め、相手の出方を伺いジリジリと間合いをとる
だが、死神の鎌は無情にも振り下ろされた
「やっちゃえ」
隠しきれぬ楽しそうな声で怪人達へと指示を下す
カウボーイ調の怪人が拳銃の引き金を引き弾丸が飛び出し、それと同時に左右に控えていた怪人が前へと躍り出る
カマキリ型の女性型をフィリアが、道化師の様な男性型をセドが相手取り、撃ち込まれた弾丸を防御結界を張ったトウヤが防ぐ
「貧民街のウツユエ型をやったのはお前か?」
引き金をなん度も引きながらトウヤと相対した怪人が声を荒げながらそう言ってくる
防御結界を張りダーカー博士達4人を守っていたトウヤは何のことかも思いながらも、貧民街という単語からある程度見当が付いた
「まさか・・・あのカマキリみたいな怪人のことか?」
「おぉそうだよ、俺が手塩にかけて教育してやった子分を良くもやってくれたな!」
恨めしげな言葉をトウヤに投げかけ銃撃がさらに激しさを増す
「ぐっ、ならまさかお前がシリを唆したのか?」
「唆したとは失礼な、あの馬鹿な頭の足らないガキが勝手に話し掛けて来たから利用しただけさ!」
「お前・・・!」
その言葉を聞き思わず感情が篭り歯を食いしばる
だが、銃撃は止まず怪人の言葉もまた続いていく
「馬鹿な奴を利用して何が悪い?弱い奴を利用して何が悪い?この世は弱肉強食だろ?青臭いガキじゃあるまいし、そんな事もわかんねぇのか!?」
煽る様な口調、それは怪人の余裕の表れとも取れた
実際、フィリアと相対したカマキリ型怪人は縦横無尽に駆け巡る彼女に苦戦を強いられ、防戦一方となり、道化師型もまた、セドの操る風により彼に近付けないでいるが、唯一この怪人だけトウヤに一方的に攻撃を仕掛けている
そんな時、トウヤの後ろから声が掛けられた
「トウヤ、もう大丈夫だ!」
怪人が彼の後ろを覗き見れば離れたダーカー博士達の姿があり、結界札を地面に貼り付けて防御結界を展開した姿があった
そう、トウヤはあくまで時間稼ぎをしていたのだ
声を聞いたトウヤはすぐさま防御結界を解除すると、右腕にフレアシューターを取り出し魔力を込めると稼働状態に移行する
『フレアシューター、アクティベート!』
機械音声と共に引き金を引けば銃口から3条の熱線が放出された
それは怪人の胸部へと命中し小さな悲鳴と共に怪人をよろめかせる
効果があった事に安心するトウヤだが、すぐ様体制を立て直した怪人からの反撃を喰らう事になった
発砲音と共に構え直した拳銃から放たれた数発の銃弾がトウヤの胸部めがけ飛翔し、表面の結界術式と干渉し火花を散らす
「痛いだろうが!えぇっ!」
怪人は胸部から僅かに白煙を上げながらも、続け様に向かい片方の拳銃を乱射する
上級怪人の魔力により生成された弾丸は撃ち込まれる度に火花を散らし、倒れまいと踏ん張るトウヤへと確実に損傷を与えていく
当たる度に小さく悲鳴をあげ後ろへと後退るが、トウヤはこの状況を打破すべく学習型術式と人工スライム装甲の柔軟さを活かし肩部に新たに噴射術式を生成した
生成された術式は魔力供給により、命が吹き込まれ起動する
「くたばれ!」
トウヤの頭目掛けて放たれた弾丸は、噴射された術式により真横に移動した事で躱される
急に機敏な動きに驚いた怪人だが、すぐ様横に移動したトウヤへと銃口を向け狙い澄ます
『イグニッション、プレパレーション』
「イグニッション!」
噴射された燃焼ガスがトウヤの身体を真っ直ぐ前へと押し出した
一瞬で高速に達した彼を捉える事は怪人にはできず、膝蹴りを顎に喰らうと同時に放たれた弾丸はあらぬ方向へと飛んでいく
「・・・あれは」
それはビヨロコの目にしっかりと映っていた
歴史書の中でしか未だ存在が認められていない第4勇者、初代鎧の勇者の用いた火を吹き空を高速で移動する力
その力を行使するヒーローの存在を
地面に降りた瞬間、身体を捻り足を高くあげ裏回し蹴りを怪人のこめかみに打ち付ける
直撃した怪人は横に蹌踉めきながらも崩れた姿勢で拳銃を放ってくるが、それを垂直に飛び躱し、直後に再度フレアジェットを作動させその勢いのまま怪人の頭へ拳を見舞い、地面へと叩きつけられる
ゴブッと小さく呻く怪人
『オーバーパワー、アクティベート』
ふらふらと立ち上がる怪人へと止めの一撃を仕掛けようとブレスレットの貯蓄魔力を解放するが、そうしようとした瞬間彼の動きが止まる
その原因は彼の視線の先、怪人の向けた銃口の先にあった
「お前・・・それをどうする気だ」
怪人の向けた銃口の先には、一つの屋台と3人の人影が見えた
おそらく屋台を経営していた一家だろう
父と思しき男の背に隠れ、母と思しき女とそれに抱きしめられる子供の姿があった
動きの止まったトウヤを見て、怪人は笑う
「そんなの決まってるだろ、攻撃するな、もししたら・・・わかってるだろうな?」
要は人質だった
銃口を向けられている以上、下手な事はできない
だが、このままにしてもあの家族がどうなるかわからない
しかし、父の家族を思い懇願する様な目にふるふると震える拳の力を抜き、トウヤは何も出来ずただ歯を食いしばることしかできなかった
「お、ご苦労さん!」
交戦の意思が無くなったのがわかるや否や、片方の手に握られている拳銃で怪人は再びトウヤへと銃撃を始める
撃ち込まれる弾丸は怪人の鬱憤を晴らす様にトウヤの身体を、スーツを傷付けていく
叫びをあげ、火花を上げ、何十発も撃ち込まれた後、トウヤは膝を着く
だが、これで自分に怪人の注意は自分に向いている筈、あの家族がなんとか逃げる隙を作らねば
そう考え怪人を見据えるが、怪人の注意はすでにトウヤではなく、あの家族に向いていた
最悪の想定がトウヤの脳裏を駆け巡る
「そんじゃ、お前らもお疲れ様」
「やめろ・・・!」
伸ばした手は届く事なく
放たれた凶弾は止まる事なく
父の身体を肉を掻き分け貫通し、奥にいた母と子供へと命中する
力無く守るべき家族のいる後ろへと倒れる父
「マイク・・・マイ・・・ク」
「お父さん痛いよ!お母さん!!」
だが、父が身を挺したおかげか奥の2人はまだ息があるのだろう
母は静かに父の名を呼びか細く声を上げ涙を流す、子供は叫ぶ余裕があるのか声を張り上げ泣き喚く
まだ救いはある
そう思うと居ても立っても居られず痛めつけられ震える足に力を込めると、前へと飛び出す
「うるさいなぁ」
2発の銃声
それは確実に生き残っていた2人の声を止めた
「あ・・・あぁ・・・」
目を見開き、物言わぬ屍とかした家族を見る
助けられなかった。その思いがトウヤの胸中を駆け巡り謝罪の念と共に、仮面の下で涙を流す
「すごい・・・すごいすごい!ねぇクーラ、あれ欲しい!!」
「すごいね、すごいね、あれ第4勇者の技だよね、欲しいね!」
家族の屍を前に硬直するトウヤを見て興奮気味に笑い飛び跳ね、ビヨロコとクーラはトウヤのスーツを欲しがる
他人の死に無関心であり、自身の興味のある事には夢中になる。それはある意味で彼らの精神性を表していた
「うん!すっごくほしい・・・!でも、その前に」
だが、彼らには目的とした人物がいる
まずはそれの確保を優先する事にした
カマキリ怪人と戦うフィリアは一つの違和感を覚える
ーー違和感がある
足裏に展開した結界魔法で3次元軌道を繰り出し怪人を翻弄する彼女ではあったが、それでもあまりにも弱いが止めを差し切れないカマキリ怪人の強さに違和感を覚えたのだ
まるで、知性の無い無貌と戦っている様な違和感だった
だが、その違和感の正体に彼女、彼女達はすぐに気付く事になる
「何するんですか、ダーカーさん!?」
「博士何やってんだよ!」
天華達の驚く声があたりに響く
見ればダーカー博士が天華へと組み掛かっていた
ラーザとシスが博士を引き剥がそうするがガタイの良いラーザでも動かす事が出来ていない
「ふふっ無駄無駄」
『ふふっ無駄無駄』
全く同じタイミングで、同じで聞こえ重なる声
それはフィリアの前と後ろから聞こえる
そう、フィリアが相対していたカマキリ怪人とダーカー博士からその声は発されているのだ
口を動かす事なく、カマキリ怪人とダーカー博士の2人が笑いながら言う
「私はね寄生怪人なの、この身体もその女も全員私が操ってるの!ねぇ凄いでしょ?あははは!」
『私はね寄生怪人なの、この身体もその女も全員私が操ってるの!ねぇ凄いでしょ?あははは!』
声が重なって聞こえてくる
いつの間に、そう考えフィリアの眉間に珍しく小さく皺がよる。声が同じタイミングで二重に聞こえてくる事からフィリアは最悪の可能性を考え武器を下ろした
「賢くて偉いねぇ、そうだよ、私を攻撃すればこいつの命は無いよ、ビヨロコ様!クーラ様!私やりましたよ!」
『賢くて偉いねぇ、そうだよ、私を攻撃すればこいつの命は無いよ、ビヨロコ様!クーラ様!私やりましたよ!』
ダーカー博士と怪人の顔から1本の触手が出る
それはトウヤが貧民街で倒したカマキリ怪人の臀部や口から伸びていたものと同じだった
先端から伸びる小さな口から声が発せられビヨロコとクーラに褒めて欲しそうにクネクネと踊る
それを見たクーラは真似してクネクネとしながら楽しげに笑う
「偉いね、とっても偉い!」
「ふーん・・・この子が勇者かぁ」
「ひっ・・・」
防御結界を突き破り衝撃と共にビヨロコが天華の顔を覗き込む
衝撃によりラーザとシスは吹き飛ばされ、光の無い目と無機質に笑う顔をあまりにも不気味で間近で見た天華は小さく悲鳴をあげる
操られたダーカー博士が天華を離すとビヨロコが幼い手で彼女の腕を掴み上げ、その瞬間ダーカー博士の口から怪人の本体が飛び出していく
1本の縄の様な触手はビヨロコの首に巻き付く
「それじゃ行こっか」
「ゲホッゲホッ、ま・・・待て!」
身体の制御を取り戻したダーカー博士が制止の声を上げるが、それに構う事なく
天華を引き摺り、やがて高速で移動し姿を消す
それに続く様にカマキリ型怪人も、トウヤと戦っていたカウボーイ風の怪人もまた、その姿を消す
セドと戦っていたピエロ型怪人もまた撤退しようとしていた
「どうやらここまでみたいだなぁ、楽しかったよ、拳の使えない木偶の坊」
「貴様・・・何を知っている」
不穏な空気が2人の間に流れる
ひりついた空気の中睨み付けるセドだが、怪人は気にする事なく背戸へと背を向けた
「せっかく大貴族様と戦えると思ったのに、お前弱いな」
「・・・!貴様!」
食い掛かるセドだが、次の瞬間にはピエロ型怪人は空高く跳ね上がり屋根伝いに移動し消えていく
残されたセドはただ拳を強く握るしかなかった
「みんな無事!?」
空間を歪ませ切り裂き転移で持って駆けつけた雫と茜の目に打ったのは散々たる有様だった
既に敵と護衛対象の勇者の姿はなく
市場は戦闘により荒れ果てた状態にあった
「悪い雫、茜・・・」
ダーカー博士の声が静かに響く
勇者の護衛、その結果は散々である
街中で暴れた上級怪人の対処に追われ、三大怪人の一角に勇者を奪われる結果となったのだ
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