あめおとこー鏡堂達哉怪異事件簿その壱

とても読みやすく、面白い物語りです。

それは読み物には当たり前に求められることなのだけど、実現するのは簡単なことではないと思います。感心しきりです。

警察モノの特徴の一つである、堅実に事実を取得する行為の積み重ねで真相に至る過程の面白いさ。
作中の怪異と、その現象が発現する非現実性の興味深さ。
この二つのコントラストが印象的でした。

これからシリーズを読むのが楽しみです。
面白い物語をありがとうございました。

叩き上げの刑事、鏡堂達哉が挑む怪異事件シリーズの第一弾。

全七回、完結してますので安心してお読みいただけます。

ホラーですと「よく分からない恐怖」というモノが付き物（憑き物？）ですが、こちらも刑事モノらしい検証を踏まえ、不気味さを感じさせつつも挑み続ける鏡堂の漢気が光ります。
バディを組み、共に事件の解明の奔走する天宮於兎子の活躍も見逃せません。

回を追うごとに魅力的な登場人物も増え、物語に厚みも増していきます。


刑事ドラマと怪異モノ、いい所取りのこのシリーズ、是非お楽しみ下さい。

本作は怪異事件を追いかけるシリーズの第一章。とすると、読者には一抹の不安もよぎります。

デウス・エクス・マキナとは、演出技法の一つである。古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在（神）が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法を指した。
（Wikipedia 「デウス・エクス・マキナ」2024年9月16日 (月) 13:30版 より引用）

要は「怪異で何でも起こせるなら、事件のトリックも解決も一発じゃん？」という不安が。

ですが、ご心配なく。怪異を上手く使う作家は、物語における事実や登…続きを読む

　鏡堂シリーズ第一弾。

　事故ではありえない、不可解な死を遂げる被害者達。刑事・鏡堂は無事犯人を追い詰めることが出来るのか――。

　ホラーもミステリーも堪能したい、という欲張りな読者にお勧めします。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（128文字）

今作はタイトルの「あまおとこ」という柔らかい印象とは違い、中身は骨太なホラーミステリーとなっています。

特に警察部分の描写がしっかりとしていて、途中までは警察小説張りの手堅い話が進んで行きます。ミステリー好きの私も、捜査のリアルさには非常に舌を巻きました。

真相に辿り着くまでのミステリー部分も良し、被害者達の死に様の不快さというホラー部分もよし。

ホラーとミステリーがバランス良く結合した快作です！

是非、ご一読の程を！！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（112文字）

車、家、ホテルで連続不審死が発生。共通点は、被害者全員が幼馴染であり、「大量の水の中で溺死」していること。しかし、車の中や家、ホテルを満たすような水を発生させるなんてまず不可能。
不可解な事件に頭を悩ます警察たち。そんなとき、さらなる共通点が明らかになる。それは溺死した水が「雨」の成分に近いこと…
読んでいて全く先の予想ができない、超本格ミステリー！！

乾いた車道を走行中に溺死する。一体、
何故？それ以前に、どうやって彼らを
死に至らしめたというのか？
刑事である主人公の許に不可解な事件の
一報が入る。そしてそれは第二、第三の
同様に不可解な　殺人事件　へと波及して
行く。連続殺人の様相を呈したことで
その『背景』が見え隠れする。そして、
思いもよらぬ『過去の事実』が。

　　あ　め　　お　と　　こ　

ここで改めてタイトルが存在感を持って
不気味に浮かび上がる。『あめおとこ』は
誰なのか。嫌疑、秘匿、裏切？
刑事部屋に動揺が拡がる中、漸く見えて
来た、恐るべき過去からの　因縁…。

この作品は、本格ミステリーホラーだ。
シリーズ化が待ち望…続きを読む

ひとこと紹介通り、見た事もない不可思議な事件に、警察もそして読者である私達も翻弄されていきます。
あり得ない事件からどんどんとあり得ないが積み重なるので、この先は一体どうなるんだ？とワクワク感を抱きながら、ページをスイスイと進んで行くに違いありません！
面白い、だけではなく、切ない部分もありますので……皆様、是非とも読んでみて下さい！