まず目次を見てください。
外宇宙より飛来した敵性生物との戦いを描いた本作。
物語の大半が、個人を描きます。
こんな構成、ありますか?
凡百な作品なら謎の組織だの、万能戦艦だの人型汎用決戦兵器だのを出してきます。銀色の大超人だって出るでしょう。
一切要らない。そんなもの。本作には。
出るのは普通の人間。優秀であっても生身の人間たちです。
本作ではその意図と構成が効果的に意味を持って読む者へ迫るのです。
すべてを失った者の執念が、怒りが。職責を全うする信念が、勇気が。他者を思いやる献身が、優しさが────バラバラのベクトルが寄り集まり巨大な合力となって外宇宙からの流れ着いた敵性生物へ立ち向かいます。
本作は遠い宇宙から飛来した意志なき侵略との戦いを描いています。
超常的な災害の惨禍を描いてもあります。
であっても、本作で最も胸に響くのは人間の本質的な素晴らしさなのです。
本作は、まさしく人間讃歌なのです。