第46話 スピノザの言葉

 

 自分にできないと考えている間は、本当はそれをやりたくないと心に決めているのだ。

 だからそれは実行されはしない。



    ―――バールーフ・デ・スピノザ (オランダの哲学者)



 2013年の邦画で「ボクたちの交換日記」という、売れないお笑い芸人が奮起するんだけど、結局別々の道を歩み始める作品があります。


 その劇中の台詞で、

「中学の時の先生がさ、”やろうと思っていた”と”やる”の間には大きな川が流れているとか言いやがって。当時ウゼーなあとか思いながら聞いてたけど、今ならわかる」

 というのがあるんですよね。


 このシーンを見た時に、上記のスピノザの名言を思い出しました。


 トライする前に投げ出してしまった「やらなかった」と、ぶつかってみたけど失敗した「できなかった」は、両方とも結果だけ見れば同じでも、経験値として全然違うんですよねえ……しみじみと身に染みております。


 他にもスピノザの名言には、こんなのもあります。


「もし現在を過去とは違うものにしたいのならば、過去を学びなさい」


 若い人にとっては、「日本史」や「世界史」の授業なんて「だって自分が生まれるよりずっと前のことなんて興味ないし」と思うかもしれませんが、人類の長い歴史、過去を学ぶことで、人はそこから失敗を知り、教訓を得るのです。


 近未来を舞台とした某SF作品の中で、「学校の授業から歴史の項目が抹消され、個人でも過去の社会史を学ぶのが禁じられている」という設定を見たことがあります。

 過去の歴史、人間の戦争史や革命史を学ぶことで、民衆が知恵をつけてしまうので、国民をコントロールしたい為政者たちにとっては都合が悪い……そんなディストピアな世界設定にゾクリとしたことを覚えています。


 昔のことを勉強するのが禁じられていないだけ、この世界は、いえ、この国の社会はマシな方なんですね。


 日常生活においても、自分で経験した「小さな過去の失敗」から、行動を変えることで、同じミスを繰り返すのを防ぐことができます。

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