第42話 ギル・アメリオの言葉


 自分の力でどうにもならないことは、心配しても意味がない。


    ―――ギル・アメリオ (アメリカの実業家)



 アメリカの「アップルコンピュータ」の元会長にしてCEO、ギルバート・フランク・アメリオ。


 大学時代は優秀な成績で奨学金つきコースへ進み、その後、電子工学で物理学の博士号を取得。

 その後は技術職として活躍し、半導体の生産などでは経営などの再建にも腕を振るい、「再建屋」と呼ばれました。


 アップルコンピュータのメンバーとなり、在庫整理や業務開発案件の統合などで再建を行い、若かりし頃のスティーブ・ジョブズも、彼からは多大な影響を受けたと言います。

 残念ながら、最終的にはジョブズとは意見が割れて、ギルは自らCEOを退くことになるのですが……。


 このように経営面で合理的な考え方だったギル。


 上記の言葉は、「諦観」ではなく、自分の成すべき仕事の「線引き」で、行動により結果を動かせる範囲を見極める、ビジネスにおいても有効な思考法であると言えます。


 中国の古典『列子れっし』には、「の国」に空が落ちてきて、地面も割れ、天変地異で世界が終わってしまうのでは……と、心配でこの世を憂いて食事も睡眠も満足に取れない人がいた、という話があり、このことが「杞憂きゆう」という言葉の語源となりました。


 世の中のほとんどのことは、自分で心配していても、どうにもならないのかもしれません。

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