第22話 野比のび太の言葉

 きみはこれからも何度もつまずく。

 でもその度に立ち直る強さも持っているんだよ。


    ―――野比のび太 (コミック『ドラえもん』のキャラクター)



 藤子先生が生み出した、日本国民なら誰もが御存知なコミック『ドラえもん』。


 この名言は、現在の小学生の「のび太くん」ではなく、「ぼくなんて大人になってもきっとだめだ」と嘆いているところにタイムマシンでやってきた、45年後の中年になった大人の「のび太」が、励ます言葉です。


 未来の自分がこう言ってくれるのです。これほど確実な後押しは他にありません。


 話は変わりますが、「大人になった自分が、小学生の頃の自分と会う」シチュエーションで、今、大人になっている自分が、小学生の頃の自分に何かアドバイスできるだろうか、と考えることがあります。


 ブルース・ウィリス主演、2000年のアメリカ映画「キッド」は、40歳目前でバリバリ仕事をこなしているが、独身で友人もおらず、同僚からは嫌われている男・ラスの前に、無垢な「小学生の頃の自分」が出現し、自分の生き方を考えさせられるというファンタジーです。


 純粋に将来に希望を持ち、キラキラした目で語る無垢な子供から「大人になったぼくは、結婚もしてなくて、小さい頃の夢も叶えていないなんて最低!」と罵られたら……精神的に結構キツイよなあ、と思いながらこの映画を見た記憶があります。


 せめて「昔の自分」に、胸を張って会える、「今の自分」でありたい。そう思います。

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