第34話 ラ・ロシュフコーの言葉


 ひとつも馬鹿なことをしないで生きている人間は、自分で考えているほど賢明ではない。


  ―――フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー公爵 (フランスの文学者)



箴言集しんげんしゅう』などを残したロシュフコーの言葉は、綺麗なものに潜む刺激的な本性を突き刺す、鋭利な先端を隠しています。


「我々の美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳にすぎない」


「頭のいい馬鹿ほど、はた迷惑な馬鹿はいない」


「我々は普通、自分を賛美してくれる人々しか、心から誉めない」


「人は普通、誉められるためにしか誉めない」


「断じてこびは売らないと標榜するのも、一種の媚である」


「軽蔑すべき人間に限って、軽蔑されることを恐れる」


「人の偉さにも、果物と同じように旬がある」


 なかなかの言葉の毒針。


 こういったテイストばかりではなく、ポジティブなものもあります。


「希望と恐れは不可分である。希望のない恐れも、恐れのない希望も存在しない」


 さて、最後に、「自分は不幸かもしれない」と思ってしまった時のため、記憶に留めてほしい、ロシュフコーの言葉。



「人は、決して自分で思うほど幸福でも不幸でもない」


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