第52話 シェイクスピアの言葉


「今が最悪の状態」と言える間は、まだ最悪の状態ではない。


   ―――ウィリアム・シェイクスピア (イギリスの劇作家)



 シェイクスピアほど、名言を残し、様々な映画や小説で引用され続けている人物は、他にいないかもしれません。


「どんなに長くても夜は必ず明ける」


「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」 


「この世は舞台、人は皆、役者だ」 


「世の中には幸も不幸もない。ただ考え方でどうにもなるのだ」


「備えよ。たとえ今ではなくとも、チャンスはいつかやって来る」


「人生とは、歩く影にすぎないのだ」


「きれいは汚い、汚いはきれい」


 日常会話の中でさらっと引用し「今のはシェイクスピアの言葉です」と決めることができたら、どれだけ格好良いことか!


 さて、冒頭の言葉は『リア王』の中の一節です。


 今が人生の中で最悪の時だよ、どん底だよ……そんな風に自分を振り返ることができる精神的余裕があるうちは、まだ最悪ではない、ということですね。

 ホントーに最悪だと、そんなこと考えているヒマもないはずです。


 いや、えーっと、「今が最悪だ」と思ってもね、人生やってると、もっとひどいことがあって、「最悪」は更新されていくもんですよ。

 これは絶望的達観じゃなくて、希望的観測。救済の思考法です。


「最悪」が更新された瞬間、昔悩んでたコトなんてちっぽけなコトだったんだなあ、って客観的視点が持てるようになります。

 経験値を積み重ねて、自分の中の「気持ちの折り合いの付け方」や、問題解決の処理能力が向上していくのです。


「あの頃は最悪だったなあ」なんて笑って話せる日が来る日まで、シェイクスピアの言葉を思い出しましょう。


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