第26話 マードックの言葉

 何もかもが変わっていく瞬間があります。


 今まで嘆いていたことが突然どうでもいいことに思えてくるのです。


   ―――ジーン・アイリス・マードック(アイルランドの作家・詩人)



『鐘』『ユニコーン』『海よ、海』『魅惑者から逃れて』など、セクシュアルかつファンタジックな著書をいくつも残した女性作家、ジーン・アイリス・マードック。


 彼女は晩年、アルツハイマー病に苦しみ、その苦悩の生き様は「アイリス」という映画にもなっています。


 取り上げた上記の一文は、「禅」の思想にも通じていたとされる、彼女の言葉。


 何かの修行を続ける時、成長に伸び悩むステージがあると同時に、自分自身や周囲の変化に気づき、目覚めるステージもあるそうです。


 マードックは恋愛について、


「愛する事を教えてくれたあなた。今度は忘れる事を教えて下さい」


 と、切ない格言も残しています。

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