概要
金はないが時間はある 若さと勢いだけで旅立った米国奮闘滞在記
マイケル・ジャクソンが、全世界で最も売れたと言われているアルバムを発売して間もない頃、僕はロサンゼルスのダウンタウンにある古びたアパートメントホテルにいた。
日当たりは良くなかったが、掃除は行き届いていて決して居心地は悪くはなかった。
窓がひとつしかない狭い部屋の壁際に置いたラジカセは、ローカルFMが流す電波をその小さなアンテナで精一杯拾っていた。「ビリー・ジーン」や「ビート・イット」がよく流れていた。
まだ何者でもなかったあの頃。すかせたお腹をコーラで紛らせながら、流れてくる曲に僕は聴くともなく耳を傾けていた。
ただ時間だけがたっぷりとあった。
日当たりは良くなかったが、掃除は行き届いていて決して居心地は悪くはなかった。
窓がひとつしかない狭い部屋の壁際に置いたラジカセは、ローカルFMが流す電波をその小さなアンテナで精一杯拾っていた。「ビリー・ジーン」や「ビート・イット」がよく流れていた。
まだ何者でもなかったあの頃。すかせたお腹をコーラで紛らせながら、流れてくる曲に僕は聴くともなく耳を傾けていた。
ただ時間だけがたっぷりとあった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!等身大のリアリティ
『リアリティだよ!リアリティこそが作品に生命を吹き込むエネルギーであり、リアリティこそがエンターテイメントなのさ』これは、ジョジョの奇妙な冒険の作中人物、漫画家の岸部露伴の名言ですが、このアメリカ旅行エッセイの端々から感じるのはまさにリアリティでした。
若さに任せて、勢いで?アメリカに旅立った若かりし頃の作者さんたち。サクセスストーリーどころか、その日の御飯にも事欠く様な事態になりますが、ありのままの描写は真に迫っていて、読む手が止まらなかったです。その時代、その場所に行った人でないと絶対に書けない物語。どこかコミカルな表現でクスリと笑わせてくる持ち味も健在です。決して説教臭くなく、でもハッ…続きを読む