7-2

 さつまいもを切ってから、パックされていた山菜と一緒に鍋で煮込む。そして同じく切ったさつまいもと鶏肉を、フライパンで一緒に煮込む。


 鍋の中でさつまいもと山菜が水で煮込まれて、フライパンの中でさつまいもと鶏肉がめんつゆで煮込まれる。


 もちろんごはんは炊飯器にセットされている。そしてあとは煮込むだけだから、がんばらなくていいはず。


 ということで煮込み中に、色々と会社のことを考える。


 例えば台車を運搬するという理由で開けっぱなしにされるドア。


 私が働いている会社では色々な人の個人情報が扱われているんだけど、ドアを開けっぱなしで良いのだろうか? 田舎の家だって鍵を開けていていても、ドアを閉めていることが多いはず。すなわち個人情報を扱っている会社で、田舎の家よりもセキュリティが低くていいのだろうか?


 それからもうすぐさむーい冬がくる。そんな中暖房を逃がすようにドアを開けっぱなしにするのはかなりの問題だ。でも台車の運搬担当の心は、きっと冬の寒さよりも冷たいのだから仕方ない。


 あっ大分さつまいもが煮込まれているみたい。そこでなべからあくを取る。今日は山菜とさつまいもを煮込んでいるからか、あくが多いかもしれない。いつもはもっとあくが少ないのに。そこでせっせとあくを取り続ける。鶏肉とさつまいもの煮込みも、おはしでついでにかき混ぜる。


 会社といえば、最近終礼の時間が早くなった。今まで給料の出ていない時間、すなわち就業時間が終わってから終礼が行われていた。すなわち今までは業務が終わってから業務に関する連絡を聞いたり会社のえらいさんや会社に来た人の話を聞いていたりしたわけだ、終礼ってそういうことなので。


 でも今はそういうことが少なくなった。


 就業時間内に終礼が終わり、片付けが終わってから帰ることができるようになったのだ。まあ就業時間前の給料が出ていない時間に仕事の準備をしなくちゃいけないこと、就業時間後にも仕事の片付けをしなくちゃいけない、その事実は変わらない。でもましになったからいいのだ。


 きっと仕事をするときに、給料の出ていない時間も頑張らないといけないのは当たり前だ。


 そんなことを考えていたら、さつまいもがかなり煮込まれている。鍋で煮込まれているさつまいもは問題ないみたいだけど、フライパンで煮込まれているさつまいもはどろどろだ。まるでさつまいもの鶏肉煮込み、そう命名したくなるほど。


 鍋に赤だしのみそをいれて、フライパンに焼肉のたれを混ぜる。そこから煮込むこと少し、料理が完成した。


 夕方6時の『名探偵コナン』が終わってから、作った夕ご飯を食べる。


 胸がつまって食欲はない。そんな中赤だしのみそ汁と鶏肉煮込み、それからご飯を詰め込む。みそのしょっぱさとしょうゆのしょっぱさ。これら以外には、よく分からない。そんな中、なんとか食事を終わらせる。


 食事中、テレビからはニュースが流れている。話題はもっぱら選挙のこと。


 過半数を今の連立政権が衆議院では取ることが出来なかったから、今首相が誰に決まるか分からない状況らしい。


 与党の党首が普通は総理大臣だけど、今は実質みんな野党状態。いや衆議院の結果だから、参議院の結果が与党よりだから問題は無いのか。いずれにしろどうなるかは分からない。


 まあ仕事で疲れ切った脳は、色々なことを考えられない。食事を楽しむ余裕すらないし、政治のことはなおさら考えられない。

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