3-2

 夜が終わり、朝がくる。


 めざまし時計かわりの古い携帯電話を静かにしてから、私はベッドからなんとか起き上がる。


 起きたくない、起きたくない、起きたくない、起きたくない、起きたくない、起きたくない、起きたくない。


 毎日思うことがぐるぐる頭の中をまわる。起きて行動する、そこにはしんどさしかない。


 仕事へ行かないといけないのは、当たり前だけど辛さしかない。人が荷物のように詰め込められているバスや電車をなんとかクリアして、駒のようにただ使われているだけの仕事をクリアして、そしてまた荷物のように詰め込められて帰宅する。そこに幸せやうれしさはない。


 休みの日は、そのなごりで疲れている。月に疲れて、火も疲れて、水には疲れが限界で、木は限界でも仕事があり、金はぼろぼろでも仕事、そして土日はただぼろぼろなだけ。


 そういう状況で楽しく生きるなんて思いもしない。


 この疲れは栄養ドリンクが気休めにしか役に立たなくて、いくら寝ても救われない。ただただ生きるのが辛い。


 でもいくら生きるのが辛くても起きる。今日は病院に行かないといけない。そういうわけで起きて、準備して、病院へ行かなくてはいけない。


 昨日の夕ご飯ののこりのじゃがいもをゆっくりとかんで飲み込み、顔を洗って、化粧水と乳液を塗ってから日焼け止めも塗り、着替える。


 これででかけることができる。化粧はしない。仕事で疲れた脳には、化粧をする余裕なんてない。化粧下地を塗って、ファンデーションをはたいて。たったこれだけのことかもしれないけど、そういうことをしようと思う元気すらない。ちなみにチークや口紅はマスクをつけるからしなくなり、マスカラやアイシャドウはめんどくさいから塗るという発想すらない。そのため休日だからという理由で凝ったお洒落メイクもせず、ただただノーメイクで過ごしている。


 今日は病院に行って、買い物して、それをしなくちゃいけない。しかもそれに加えて、地域コミュニティFMのイベントにも参加したい。確か地域コミュニティFMのイベントは、隣の市であるはずだ。昨日の夜からずっと考えているけど、有名な人が出るイベントだから、行ってみたい。


 メイクという概念がない顔、シンプルなワンピース、これらに加えて鞄と保冷バッグを持って出発する。


 とりあえず病院に行かなくちゃいけない。イベントに行くかどうか、それは病院が終わってから考えよう。


 私はそう決意して、歩き始める。


 太陽が明るく、徐々に暑くなりそうな外。私はそんな状況で人目を避けつつ。目的の病院へ向かって歩く。


 イベント行きたい、イベント行きたい、イベント行きたい、イベント行きたい、イベント行きたい、イベント行きたい、イベント行きたくない。


 歩いている途中、頭の中がぐちゃぐちゃする。


 イベントに行っても楽しもう、無理してでも。いやイベントに行ったら仕事に影響するくらい体調が悪くなるかもしれない、あきらめよう。


 仕事は大事で、仕事のせいで今体調を崩していても仕方ない。そんな私はどうにもならない。


 とにかくしんどい、しんどい、しんどい、しんどい、しんどい、しんどい。仕事の休みで今日はあるけど、それだけでしんどさからは解放されない。とにかくなんでもしんどい。

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