第27話 ブラックライトに映える星々~俳句・短歌・詩企画~/秋犬先生

 ご参加いただきありがとうございます。秋犬さんはほとんど初挑戦ということです。ご安心ください。素晴らしいトライですよ! 


ブラックライトに映える星々~俳句・短歌・詩企画~

https://kakuyomu.jp/works/16818023214025686685


俳句「星」


手袋を借りて仰ぐ凍星いてぼし


 初っ端からすごくいいではないですか。犀川はこういうの大好きですよ。手袋を借りた人、貸した人が誰なのか。想像が膨らみます。きっとお互い白い息を吐いて凍星を仰いでいるのでしょう。「見上げる」のではなく「仰ぐ」であるところに何かの感情を篭めているように思えます。

 犀川の妄想は、ポニーテール(茶髪)後輩JKがかじかんだ手をハァーってしているとセミロング先輩(黒髪)が「寒いんでしょう?」なんて手袋を脱ぐわけです。で後輩が「貸してくれるんですかぁ?」みたいな悪戯っぽい声を出しながらも「ありがとうございます」って片方だけ借りるわけです。で、後輩ちゃんは先輩の冷たい片手にもう一方の手袋をつけて、もう一方は――手を握ってそのまま自分のコートの中に。驚く先輩の顔が綺麗すぎて、自分からやったくせに後輩ちゃんはテレてしまい、星空を仰いで「”綺麗”ですね」なんて、それってどっちのことを言っているの(字数配分大幅オーバー)



短歌「星」


「星屑のダイヤモンドを贈ろうか」ブラックライトに映える星々


 解説では、こんな安いプロポーズでも嬉しくて思わず頷いてしまうという、ほほえましいシーンを想定しているようですが、これブラック案件なのに大丈夫なのかと心配したくなるような複雑なところもありながらも、そのロマンチックさが前に出ている素敵な短歌ではないでしょうか。

 「ブラックライトに映える」というとこがたしかにカラオケボックスのような雰囲気を想像させますね。恋に恋をした女子の素直な気持ちがブラックライトで光っているような気がいたします。いいですね。ちなみに犀川はダイヤモンドより純金が欲しいです。さらにちなみに、わたしは犀川さいかわでして屑川くずかわではありません。まあ屑なのは否定できないので、屑川でも全然OKです!



詩「星」 『星へ還る歌』


 ほとんど初挑戦ということですが、とてもよいではないですか! 


あの人は今頃どこを走っているのか


 この一文に色々な想像ができますね。生きている人なのか死んでいる人なのか。愛する人なのか愛していた人なのか。「あの人」はどこへ行こうとしているのか。そこに明確な答えはないのかもしれません。しかし大事なのは「走っている」という現在形。走っているのものは何なのか。冒頭の一文によって大きな謎にぶつかったような気がいたします。


こんなに苦しいならば

それが幸いだというならば

幸いなんかいらないよ


 苦しいということは幸せでないと思っている「僕」。


こんなに簡単なこともわからないで

あの人は今頃どこを走っているのか


 ここに一つの謎があります。「こんなに簡単なこと」を「あの人」はわかっていないで「走っている」のでしょうか。そんなことを承知の上で走っているのでしょうか。「あの人」が目指しているものの存在と「僕」との価値観の違いにどんなドラマがあるのだろうかと、わたしは思いました。これで一つの物語が作れそうな深い事情があるのかもしれませんね。


それが君の幸いだというのなら

僕は今すぐ燃え尽きてしまいたい


 「僕」は少なくとも「あの人」との相違に納得がいっていません。そんな僕が「燃え尽きてしまう」ことが『星へ還る』ことなのでしょうか。あるいは「あの人」が走っていることが『星へ還る』ことなのでしょうか。ここには二人しか知り得ない深い愛があるのかもしれませんね。


 すごく情緒的ながら思いの交錯を感じさせる詩だとわたしは思いました。わたしの詩よりも全然素敵で上手ですので、自信を持ってくださいね。(わたし基準なのがどうかと思いますが)


詩「肌」 『受け継ぐ手』

 

 これは素直にいい詩だな、と思いました。想いや遺伝的な受け継ぎを肌で表現した、とてもまっすぐな詩だと思いました。ひとりの女として「かくありたし」、と思うような素敵な詩ではないでしょうか。お題提唱者のヒニヨル最高相談役にも感想を伺いたいな、とわたしは思いました。


 ありがとうございました。勇気を持って投稿していただいたこと嬉しく思います。





 

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