第33話 ひとり寝/澳 加純先生
この度はご参加いただきありがとうございます。素敵な短歌を拝見させていただけたこと、嬉しく思います。
ひとり寝
https://kakuyomu.jp/works/16818093073679293136
短歌 ひとり寝
さみしさと 共寝する夜は
面影たどりて 星を編む
情感溢れる短歌になっておりますね。「ひとり寝」しているのは恐らく女性なのでしょう。そして単なる恋人というよりも同棲相手か夫がいない寂しさを表現しているような気がいたします。「早く帰ってきてほしい」という「さみしさ」を枕にして、カーテンを開けたままの窓から見える星を眺め、相手のことを想いながら、彼の身をなんとか手繰り寄せられないものかとしているような光景を見ている気がいたしました。
本短歌の一番の難所といいますか肝は「星を編む」の「編む」をどう解釈するのかという点だと思いました。記憶なのであいまいですが、十年以上前でしょうか。「舟を編む」という作品が出て、「編む」という言葉が流行ったことがあります。そこでは編纂としての「編む」をかけているわけですが、ここでは「星」を編んでいます。
面影をたどりて(から)星を編む、ということですので、愛している旦那様あるいは同棲者のことを思い浮かべたイメージの断片を星としてたとえ、それを編んでいけば一枚の写真になる=会えるような気がする、というような意味合いに解釈をしてみました。
あるいは、この編むに理屈をつけるよりも、空に浮かぶ星々を頭の中でくっつけてみたり、離してみたりと「想像で」いじっていることで「ひとり寝」の無聊を慰めているのかもしれません。ちょっとエッチですが想像の自慰行為とでもいいましょうか。そんな精神的な慰めをいろんな形でしている様を捨象すると「編む」という言葉に辿り着くのかもしれない、なんても思いました。
解説では「ひとりきりのベッドは宇宙」といわれておりますが、この女性は宇宙に彷徨うひとつの星なのでしょう。そして、愛する人は眩い星ですぐ近くにいそうなのに、距離にしてみれば何万光年も先にいるのような気持ちになっているだと思います。旦那か恋人かわかりませんが、早く帰ってきて慰めてあげてほしいと女性としては思います。ただ飲んで帰ってきて遅くなったとかぬかした日にはブチギレですよね笑。
ということで、素敵な短歌をありがとうございました。
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