第2話 自主企画「転」の俳句。/雪の香り。先生

自主企画「転」の俳句。/雪の香り。先生

https://kakuyomu.jp/works/16818023214017851282


 さて、今回の先発を務めていただくのは雪の香り。さんです。いつも拙作にレビューをくださりありがとうございます。とても嬉しく、励みになっております。


耳朶穿つピアッサー春の疼痛


*じだうがつ ぴあっさー はるの とうつう


 解説では優等生が不良に転じる覚悟や通過儀礼としてピアスの穴を開けるということで、その覚悟や期待を込めている姿が目に浮かぶようです。犀川も高校時代は不良→ギャルみたいなキャラでしたので校則違反であるピアスを開けようと思ったのですが、痛みに弱いビビリなのでおばさんになった今も未だに開けておりません! それも出産しているクセに。――だって怖いんですもの……。


 高校では禁止されていた女子たちが大学デビューするためにピアスを一斉に開ける光景もこの句でイメージできますね。「さあ、ようやく親の許可も出たし、ピアスを開けるぞ!」という色気づいた女子どもの春を微笑ましく見ている気分になれます。


 特筆すべきは「耳朶穿つ」という「穿つ」ですね。こういう使い方あるのだと勉強になりました。いいですね。わたしにはなかった世界の言葉でしたので「素晴らしい!」と思いました。春の疼痛というのも解説でおっしゃっている通り、痛みと期待を表していて面白いと思いました。


 解説を読むと、優等生が何故不良になってやろう思ったのか、色々と想いを馳せることができますね。



すれ違う元カレに笑む二月尽


*すれちがう もとかれに えむ にがつじん


 これ、いいですねえ!

 何が良いかって、笑むですよ、笑む。この「笑む」に至るまでにどんな「転」があったのか、知りたくなりませんか? どこからどこへいけばこんな「笑む」という心境になれるのか。これだけでものすごい立派な物語ができそうで、犀川は興奮してしまいました。

 

 きっと普通に別れてうだうだしていると、「元カレに戸惑い笑う春寒や」くらいな心境だと思うのですが、二月が終わるようにという「二月尽」(これも知らない言葉でした。勉強になります)によって、これから春が来る心境になれたことや、別れの冬を越してきた辛さやそれを乗り越えてきた自信を感じさせます。うーん。シンプルなのにとてもドラマ性があって好きですねえ。


 開幕早々、素敵な俳句をありがとうございました!

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