第18話 『肌』という詩。/豆ははこ最高顧問
豆ははこさんとの出会いは(わたし側からは)少し特殊でした。
わたしがカクヨムを始めて最初にハマった小説が「とてかわ~愛娘(とても可愛い)と娘の家庭教師(超絶美女)さんが相思相愛だと思っていたら意中の人は母親(私)で娘公認だった件~」でして、その時はまだ作者がどんな人かも知りませんでしたし、❤をつけるのもビビッていたので、黙々と読ませていただいていたんです。で、かなり後に気まぐれで俳句の作品を眺めていたら豆ははこさんの作品に出合いまして、コメントをやりとりしているうちに、「うん? この方ってまさかあのとてかわの……」となった次第です。当時は本当にびっくりしましたね。
こちらに参加されている方、読まれている方に説明するまでもないとは思いますが、豆ははこさんはあらゆる方面で好評価を受けておられる作家さんでして、犀川も大変尊敬しているお方です。そして、こんなちゃらんぽらんなわたしがこうして自主企画ができているのは、ひとえに豆ははこさんのご助力の賜物なのです。いつもありがとうございます。
『肌』という詩
https://kakuyomu.jp/works/16818023214318328804
なんとなんと。あれだけ多才な豆ははこさんですが、初めての詩ということです。あまりにも高レベルでマルチな作風なので、既に書かれているような気がしておりました。皆さんもちょっと驚いたのではないでしょうか。
詩 「わたしの肌に」
おお、いきなりクイックリーなオチの作品。
わたしの肌がきれいでないと
あなたはわたしのところに来ない
わたしの肌にしみができたら
あなたはわたしをぽいと捨てた
三連目の「肌がきれいでないと」に雲行きの怪しさを感じたのですが、四連目の「ぽいと捨てた」に男の酷さと年月の儚さを感じます。そして物事をスパッと切り捨てていくような豆ははこさんの鋭い気風もどこか薄っすらと滲んているように感じました。優しいけれど怒らせてはいけないお姉さん。それが豆ははこさn(お、怒らないでっ)
詩 「白い花と赤い花」
語感とリズムを意識した詩で、これもナックルカーブがくるのかっ!? と思いきや、結末は。
白くなくてはいけないの
かなしげに
白くなくてはならないのは、花なのかあるいは「お客さま」の肌なのか。誰にそんなことを言われているのか。「僕」は気が気ではないのではないでしょうか。
いつもきれいなお客さま
今日は何だか晴れやかに
僕を見つめてこう言った
赤いお花を下さいと
ここに至るドラマを考えてしまうラストですね。「僕」にとっては良かった結末かもしれません(あるいは更に良くないことなのかもしれません)が、この世界を眺めている形のわたしたちは「お客さん」に何があったのか、想像したくてたまらなくなります。意図的な表現なのでしょうか。良い意味の「おあずけ」をくらった気分です。いいですね。
詩 「星の花」
あー!(遅い納得)
前の詩の「白」は肌なのですね。そしてその肌が白く美しくなくなったから、「ぽい」されたのですね。愚鈍な犀川、作品の連続性に気がつきませんでした。深い……。
君が取り出す
星の形のきれいなお花
このあたりに豆ははこさんの才能の非凡を感じます。なるほど、確かに星ですね。これは素晴らしいです。
わたしはあわててお礼を言って
お代をはらって触れた指
桔梗星のお花をもらってみれば
も一度かすかに触れる指
豆ははこさんのすごさは「、」を使うことで独自の世界観を構築できる丁寧さと、言葉のひとつひとつが緻密で重いこと。だらだら言わなくても一言に集約されて更にそこから広がる世界があるからこそ、上手な俳句や物語を書くことができるのでしょう。それがまた多くの読者が支持する所以なのだと思います。
上記は繰り返すことで、接触が意図的であるようにも見せています。そして触れたいと思っていた「彼」の想いは肌を通して伝わったのでしょうか。
素敵な作品、ありがとうございました。そしてこれを書いた後、丁寧か解説を拝読いたしました。至れり尽くせりで感服いたしました次第です。
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