第26話 はじっこのわくせい/もちっぱち先生

 おかわりありがとうございます。今回は冥王星ということで、準惑星になってしまった彼の心のうちを詠んだ詩になっております。

 ちなみにですが、冥王星はアメリカが発見した「唯一」の惑星であり、どちらかというと政治的な思惑によって、惑星・準惑星論争が長引いたと言われているそうです。


はじっこのわくせい

https://kakuyomu.jp/works/16818023213485937676



なぜか わからないが

ぼくだけ のけものに された


 そうですよねえ。いきなり「発見」されて騒がれたのに、「のけもの」はないのですよね。人間の勝手なエゴにしか思えません。


ずっとずっと なかまだと 

おもっていたのに

ぼくは しゅうだんの なかから

ひとりだけ メンバーから

ピンッと はじかれる


 つらいですよね。ずっと友達であったのに自分だけメンバー外になる。仲の良かった女子同士が学年が上がりクラス替えあると、こんなことがおきますよね。めいおうせいさん、かわいそう……。


どうして はじっこの ぼくなんだ


たいようだって はじっこ だ


 きたっ! もちっぱちさんワールドの「問いかけ」です。そうです。たいようだってはじっこなのです。そして、はじっこであるめいおうせいさんは、はじっこであるからはじかれたのだと思っています。集合写真の端というヒエラルキーを感じますね。


たいよう なんか いなくなれば いい


ずっと ひかりつづけて ずるいから


 人間と一緒ですね。自身の安定を他者の排斥によって保とうとする。「あの子さえいなければ」なんて、女子の言いたそうな世界ではないですか。男子もそうなのかもしれませんけど。


めいおうせいの ちかくを 

とんでいた ユーフォーが はなしだす



やっぱり まわりの ほしと くらべると 

めいおうせいは とくべつに きれいだな




おおきさが おなじでも 

うちがわから ひかるものが 

あるんだと かくしんした


めいおうせいの イライラが やわらいだ


 めでたしめでたしで終わらないのがもちっぱちさんの作品。ユーフォーは何を指すかは解釈次第ですが、他者に褒めてもらうことによってめいおうせいさんは元気になります。それもルックスと内面の両方においてです。ここにひとつの人間の業のようなものを感じますね。人は褒めてもらうことで自分が成り立っているということをめいおうせんさんが教えてくれているような気がします。


ぼく めいおうせいで よかったんだ


 めいおうせんさんが惑星であってもなくても、めいおうせいさんは何も変わりません。その普遍性をわたしたちは「偏見」や「格付け」によって見方を変えようとしています。ときには「定義」や「正義」を持ち出してそれを強調して排除しようとするのです。これは人類歴史上常に行われてきたことであり、今もなお、これらによって争いが絶えないのが現実です。もちぱっちさんは優しい表現の中でそんな人の醜さを表現してわたしたちに注意を喚起してくれているのかもしれませんね。


 素敵な作品、ありがとうございました。

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