第22話 彼女の爆乳は、いつ見てもデカいと思う
学校を後に、共に街中にあるファミレスにやってきていたのだ。
学校帰りということもあり、店内は多少混んでいる。
良樹らの他にも、学校を終えた別の高校の人らが多く目立っていた。
ただ、同じ高校の人らは今のところ見かけない。
自発的に呼び出せば出会えなくもないが。このファミレスは普段の通学路からかなり離れた場所であり、知っている人と奇跡的に出会うことはないだろう。
由梨と一緒にいるのを、クラスメイトらに見られたら、よからぬ噂が先走りしてしまいそうで怖い。
余計なことをする人がいないだけマシだと思いながらも、良樹は席に座ったまま息をはいた。
長テーブルの反対側には由梨が座っていて、テーブルに広げられたメニュー表に目を通していた。
「ねえ、あの二人にはちゃんと伝えてくれるんでしょ?」
「そのつもりだけど」
良樹は相槌を打つように頷いた。
今は由梨との会話に集中しようと思う。
これから、あの二人に伝える内容は今後の生活にとって非常に大切な話であり、本気で集中しないといけないのだが。どうにも、集中力が途切れ途切れになっていた。
なんせ、テーブルの上には、由梨の爆乳がのっているからだ。
由梨が爆乳すぎて、テーブルに大きすぎるメロンが、二つのっている状態に見えていた。
卑猥なことばかりが脳裏をよぎり、考えないように念じると余計に彼女の爆乳へと視線が向かってしまうのだ。
「やっぱり、断るって、方向性にしてくれるんだよね?」
「そ、そうだね……由梨さんと付き合うことになったし、そのつもりではいるんだけど……」
フワッとした意見のままでは、由梨から幻滅されてしまうだろう。
今は爆乳の方は気にしないようにして……。
この前の土曜日。
月曜日の今日、誰か一人に告白し終わった後、他の二人を振るという約束を四人の中で交わしていたのだ。
今日、学校の屋上で由梨に告白した。
だから、流れ的に五華とナギの二人を振らないといけないのだ。
「俺さ、女の子を振った経験がないから。どういう風にやればいいのかなって。由梨さんって、誰かを振ったことはある?」
「振ったことは、数回はあるけど……」
由梨は小声で言う。
他人を振るというのは、あまり他人には知られたくない情報の一つだ。
「そうか。由梨さんは普段から異性から話しかけられるし。告白もされるんだよね」
「そ、そうね……」
「でも、どうして、頑なに断り続けていたの? 告白してきた人の中には、自分と相性の良い感じの人もいたんじゃない?」
「けど、皆ね。私の胸目的だったの。だから、私はあまり付き合いたくなかったの」
「それで、断っていたと」
良樹の発言に、彼女は頷いていた。
あまり良い表情は見せず、気まずそうにしている。
「私はね、私の事を思ってくれている人を大事にしたかったから。体目的とかじゃなくて。それに、私。自分のスタイルについては、あまり好きじゃないの」
「そうなの? 魅力的だと思うけど」
「結構大変なんだよ。日常生活だと、体が疲れるから」
由梨は推定Oカップの爆乳を持ち合わせている。
ほぼ、大きなペットボトル二つ分の重さを常時胸で抱えているような状況であり、それが相当な負担になっているのは明白だ。
傍から見れば優れていると思うが、当の本人からしたらデメリットになっているらしい。
「本当はね、この胸も小さくしたいの」
「そこまで悩んでいたの?」
「そうだよ。毎年、大きくなるし、今度どうなるかわからないから」
真剣に悩んでいる事は誰にだってある。
爆乳だから良いというのは、男性目線から見た時だけであって、どんな人も苦労しているのだ。
「ねえ、良樹君って、私のどこが良かったの? もしかして、胸とか?」
「そ、それは……」
上目遣いを向けている由梨からまじまじと見つめられている。
その上、爆乳すぎて、良樹のところから彼女の谷間が見える状況になっていた。
わざと胸元が見えるように、制服を弄っていたのだろうか。
普段は冷静な彼女が、そんなことはするわけがないと思う。
だがしかし、狙っているとしか思えないのだ。
この前もそうだったが、変なテンションになると、エッチな対応をしてくることがある。
まさか、今も誘惑されている?
「でもね、良樹君になら――」
「ちょっと待って。ここではさ。皆が見ているし」
「⁉ そ、そうだね。また、変にテンションが上がってしまっていたのかも」
由梨は良樹の言葉に我を取り戻し、冷静になると頬を真っ赤に紅潮させていた。
「それより、本題に戻そうか」
「うん……」
由梨は頬を紅潮させたままだった。
さっきのエッチな展開を気にしているのだろう。
「女の子を振るって言う話なんだけど。由梨さんは、どういう風に振っていたの? 簡単な感じ? 言いたくないなら、そこまで強要はしないけど」
「……別にいいよ、少しだけならね……私の場合は友達のままの関係ならって。そんな感じに断っていたけど」
「それで問題ない感じ?」
「多分ね。私の場合の話ね。良樹君の場合はわからないよ」
「そういう怖いことは言わないで」
良樹の脳裏に、
友達のままの関係性でいようと言って、あの二人が納得してくれるかは不明だ。
けど、さすがに三股となると話が拗れかねない。
どこかで確実にけじめをつけないといけないのだ。
「良樹君は素直に伝えればいいと思うよ。その方が、あの二人にも伝わると思うから」
「そうかな?」
「変に言い訳をするより、自分の心に偽りがないような言葉であれば問題ないと思うけどなぁ」
由梨から、そういった後押しを受け、良樹は深呼吸をする。
今日、絶対に、あの二人には伝えておかないといけないのだ。
不明瞭な関係を続けるより、スパッと伝えた方がいい。
「わ、わかった。やってみる。じゃあ、この前四人で約束した通り、ここにあの二人を呼ぶから」
そう言って良樹はスマホを片手に、このファミレスに呼び出すために、彼女らに連絡を入れる事にしたのだった。
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