平凡な学園生活を送っている俺の周りには、なぜかエッチな×××の美少女が多いような気がする

譲羽唯月

第1話 学園内で美少女らの下着姿を見てしまった俺は…

「ねえ、どういう風に責任を取るつもりです?」


 後輩から、強い口調で問われた。

 でも、彼女は口元を緩ませ、ニヤニヤしているのだ。


 生意気な女の子から、問われている。


 そんな高橋良樹たかはし/よしきは今、絶望の中にいた。


 高校二年生になり、一か月が経とうとしていて、いつも通りに平凡な生活を送れると思っていた。

 だが、都合よくはいかないものだ。


 代り映えのない日々。

 平凡であっても、心のどこかでは少なからず彼女が欲しいとは思っていた。

 しかし、このような形で、女の子から問い詰められるとは想定外だったのだ。




 現在、平日の午後。


 とある校舎の一室。誰も周りにはいなかった。


 その場に佇む良樹の正面にいる子は、後輩の宮崎五華みやざき/いつか

 普通に可愛らしく、ツインテールのヘアスタイルが特に似合っている。


 制服の上からでもわかる胸の膨らみは程よく成長していて、目のやり場に困ってしまうほどだ。


 良樹は責任を取らないといけない状態であり、放置していたら後々面倒事に発展してもおかしくないだろう。


 何とか今を乗り越えるしかないと思い立ち、五華へ承諾する意思を見せたのだ。






「というか、さっきから、私の胸ばかり見てない?」

「い、いや、見てない」

「本当? なんか、嫌らしい視線しか感じないんだけど」


 五華から疑われ、その上、馬鹿にされているのだ。


 魅力的な胸の膨らみがあるのに、それから視線を逸らせないと思う。

 見ないという選択肢を選べないのだ。


 馬鹿にされてもしょうがないと思い、良樹は何とか感情を堪えた。


「ねえ、責任って、どう取ってくれるのかな?」


 五華が、さらに距離を詰めてくる。


「えっと……それは、どんなことがいいんですかね……?」


 たじたじになりながらも、逆に伺うように聞いた。


「それって、先輩が決める事じゃない? 責任を取るって言ったでしょ? 自分で考えなよ」


 彼女から呆れられていた。


 しかし、良い案が脳裏をよぎらないのだ。


「あとでもいいんだけど。まあ、明日までにでもいいし。先輩らしく誠意を見せてよね」


 五華から課題だから的な感じに言われたのだ。


 何も言い返せないことにさらなる絶望感が込みあがってくる。が、すべて、自分が蒔いた種であり、こればかりは自力で対処するしかないだろう。






 これ、どうすればいいんだよ……。


 良樹はそのことについて、昨日自宅に帰ってから一日中悩んでばかりだった。


 昨日の放課後。五華のスカートに隠れるパンツをたまたま見てしまい、それが原因で彼女から標的にされたのだ。


 どうしようもないというか。不可抗力ではあるのだが、何かしらの形で彼女の心を宥めるしかないのはわかっていた。


 はあぁ……。


 朝から気が重い。


 先ほど朝食を取り終え、自宅を後にしたのだが、早く家に変えたいとさえ思う。


 暗い気持ちで通学路を歩いている中、背後から気配を感じた。


「おはよッ、一緒に学校行こッ!」


 元気よく声をかけてきたのは、幼馴染の中野彩芽なかの/あやめだった。

 茶髪のショートヘアが特徴的。昔からの仲であり、一番相談しやすい人物でもある。


 相談するなら彩芽の方がいいよな……。


 だが、後輩のパンツを見たとか。そういうことを言って、朝から変な気分にもさせたくもない。


 下着の事ではなく、後輩と少し喧嘩をしてしまったと、そういう説明を幼馴染にすることにしたのだ。




「そういうことね。色々あるもんね。でも、早く仲直り出来たらいいね」


 彩芽は相槌を打つように頷いてくれていた。


 多少嘘をついていることに抵抗はあったのだが、一応、相談したかったことについて、幼馴染に話せたことで気が楽になっていたのだ。


「じゃあさ、どこか好きな店屋に連れて行った方がいいかも」

「好きな店屋か」

「うん。その子が好きな場所でもいいし」


 確かに、それはありかもしれないと思った。


 だが、あの後輩と二人っきりで、同じ店屋に行くことには少々抵抗がある。


 しかし、すぐに思い浮かぶ解決方法としては、彩芽からの提案が一番ベストだと思ったのだ。


「好きな店屋って言ってもさ。どういう場所がいいかな?」

「それは良樹が考えたら? その子にもよるけど、その子が好きそうな場所とか? 知らないの?」

「知らないから。俺、その後輩とは関わって日が浅いし」

「そっか。じゃあ、ぬいぐるみとか、そういうのが売ってる場所とかでもいいんじゃないかな?」

「そうだな。その方がいいかもな。ありがとな、相談に乗ってくれて」


 良樹は簡単にお礼を言った。


「また困ったら、なんでも相談に乗るしさ」

「ありがと。また、聞くと思うよ」


 良樹は、彩芽とは普段通りに他愛のない会話をし、気が付けば学校に到着していた。


朝から目的のあった良樹は昇降口のところで幼馴染とは別れたのである。






 今から向かう先は、本校舎の隣に位置している部活棟。

 そこには文化部の部室や、運動部の着替え室。その他に、図書館のような場所もあるのだ。


 良樹は今年から図書委員として配属され、今日は朝から本の整理などをやる担当になっていた。

 しかも、運がいいことに、今日、自分と同じ担当の子がクラスメイトの藤井由梨ふじい/ゆり

 ロングヘアで和風のような美人系であり、彼女は学年どころか、学校内でも有名な爆乳な持ち主なのである。


 入学当初から、そのプロポーションに魅了されていたが、その子と一緒に作業ができるなんて幸せしかなかった。


 一刻も早くに彼女の場所に行きたいと思い、部活棟へ向かう足が速くなる。その校舎の階段を上り、二階に位置している図書館へと急いだ。






 良樹はその図書館の扉を開ける。


「え……⁉」


 その光景を見て、衝撃を受けた。


 とんでもないところを目撃したからだ。


「え⁉ な、なに⁉」


 クラスメイトの由梨の悲鳴のような声が、その一室に響く。


 彼女はなぜか、上だけ、下着姿になっていた。ブラジャーが丸見えだったのだ。


「ど、どうしてそんな恰好を?」

「そ、それは、色々あって」


 由梨も焦っているようで呂律が回っていなかった。


 誰もいないからまだ乗り越えられる。

 そう思っていた。


 けど、人生は上手くいかないものだ。




「先輩、朝から何してるんです?」


 後輩の五華が尾行していたらしく、背後からパッと姿を現したのだ。


「先輩、また? やっぱり、そういうの好きなんじゃん?」

「違う! これは不可抗力で」


 そう言い訳しても、あとの祭り。


 ブラジャー姿の彼女と、生意気そうな表情を見せる後輩の板挟みに合い。良樹の悩みはさらに増えることになったのだ。

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