概要
歪んだ夫婦関係や年老いた両親との関係に密かに悩む藍子が、失ったもの・手にしたものとは……?
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!たとえ美しくても。過ちは心に影を落とします。
淡々と、それでいてしっとりとした文章がとても読みやすくて主人公「藍子」の心の機微まで伝わるようでした。
留学生の青年「マーク」との出会い、会話、食事、そして過ち。ふたりがとても純粋で、まっすぐな心のうちを語っているからでしょうか……不倫を扱った作品だというのに、とても清々しいものが漂っている風に感じました。
物語が進むにつれて、藍子の置かれている環境や心の内が明らかになっていきます。私は藍子の考え方や行いは、決して「悪い」とは言い切れないのではと思いました。
もちろん正しい事ではありません。藍子も自分のしてしまった過ちを、とても後悔しています。
それでも彼女にとってその過ちは必要な事…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心の葛藤、心のあり方。そんな人が誰もが持つ感情を考えさせられる恋愛小説
まず、正直に言えば、私には書くことができない小説です。
心情描写というより、心の移ろいを描くことがテーマのような小説に思えまして、その変化の流れがエモい感じがします。なんというか、ドストエフスキーをかなり薄めた感じですが、そんな印象を私は受けました。なんというかなぁ、心の葛藤の物語というか、心の本当の在り方というか、そういう物語になっています。
ただ内容は、人によっては敬遠しちゃうかなって感じです。女性は大丈夫だと思いますが、男性は少し拒否反応があるかもって感じです。どうですかね? 大人の女性、うーん、子育てが落ち着いた大人の女性が、ゆっくりと色々考えながら読むってのが、この小説の一番の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!女性が惑うとき
小雨が降っている。外濠近くのカフェ。外の緑が見える窓際の席に、こちらに背中を向けて座っている女性。
首から肩がほそく、まだ学生のような趣きがある。
背は高めで、カシミヤが似合うだろう。化粧は薄いが丁寧だ。
紅茶がはこばれてくる。
横顔がとくにいい。
目立たないが美人。そんな女性像がありありと眼に浮かぶ。
ここまでくれば小説としては成功したようなものだ。
品格のある落ち着いた文章がたいへんに心地よく、いつまでも浸っていたくなる。
主人公は藍子。小学生の一人息子と夫と暮らしており、司書の産休の穴を埋めるために大学図書館を手伝っている。
学生時代の愛読書はドストエフスキー。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「めくるめく」の意味を知っていますか?
本作の場合はきっと「あるものに心を奪われて理性を失うさま」でしょう。
先ほど最新話を拝読して、「うわあ……ああ……」と思わず声がもれてしまいました。
この物語の舞台や背景はきっと、誰にとっても身近なものに思えます。
だからこそ、主人公の台詞、心理描写が静かな迫力を持って訴えてくるのです。
落とし穴という言葉を「陥穽《トラップ》」と取るか「避難所《シェルター》」と取るか。
まだ連載中なので、この物語の行きつく末は分かりませんけれど、主人公である藍子とその周りがどう変化していくのか、ドキドキしながらも楽しみに拝読していきたいと思います。
そして、一人でも多くの方とこの思いを共有出来たらいい…続きを読む