日常と日常の狭間に
- ★★★ Excellent!!!
人生を、一連の時の流れと見てしまうなら、それは大河のひと掬い。単調で、儚さすら感じさせるだろう。
ところが本来は、瞬間瞬間、複雑で奇跡的な化学的結合で、この世は常に爆誕している…!
なんてことをつい思ってしまうほどに、この物語は読者を思索に誘います。
いやいや。決してこむずかしいお話ではないのです。むしろその文体は美しく流暢で、柔らかく情緒に溢れます。しかし、こと細やかに主人公の心情を拾っては広げるために、その奥深くに横たわる何かを、読者に感じさせるのでしょう。
正統ともいえる文体。決して奇をてらうような展開ではありません。しかし、そこには物語が本来有する力が、確実にある。
ふとした時に思い出す、そんなお話かもしれません。
オススメです!