空だって飛ばせてみせる。

赤ん坊が生まれ微笑んだその時、沢山の妖精が赤ん坊を取り巻くように現れるのだという。赤ん坊が育ち徐々に大きくなり、彼もしくは彼女が「妖精なんていない」と思う度に、妖精は一人ずつ消えていくのだそうだ。

大人になるということ。日々のタスクをこなし糧を得て生きていくこと。それは妖精を宿すことを許さないのだろうか?

「その妖精の粉を浴び、信じる心を持ったなら、空だって飛べるんだ」

赤ん坊だったその者が「誰かの為の妖精でありたい」と願ったなら。周囲の妖精たちはどう思うのだろう?

大人とは、何なのか。
日々を生きるとは、どういうことか。
普遍的なテーマを扱いながらも、読みやすくてどこか温かい柊文学の傑作がまた誕生しました。
短いながらも、深く色濃い物語。是非、ご堪能下さい。

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