第12話 曇る気持ち
二学期の中間テストは酷い有り様だった。
レイ君は要領が良いのか、ほとんど成績を落としていなかったけど、私はボロボロでレイ君にも心配される始末だった。
だから、季節が秋から冬に変わり、期末テストが近づいてくるタイミングで、レイ君と一緒に勉強しようとした。
だけど、どうしても二人きりになると気持ちが抑えられなくて、勉強よりレイ君と繋がることを求めてしまい全然勉強に身が入らなかった。
流石に不味いと感じたレイ君が期末テストが終わるまで、エッチは無しだと告げ、私は欲求不満の中で勉強に勤しんだ。
そんな中でユカリさん達もレイ君から話を聞いたのか、私を心配してくれて勉強を見てくれるようになった。特にコウ先輩は推薦が無くても、大抵の大学に余裕で受かるほど頭が良く、要領良く色々と教えてもらっていた。
色ボケの自業自得とはいえ勉強漬けの日々は益々私を欲求不満にさせ、ひとりで慰めても、満足出来なくなっていた。
つい我慢できずに、私はそれとなくレイ君を誘惑してみたけど、レイ君は誘いに乗ることはなかった。
そうすると、普段考えない事を考えるようになって……レイ君は私とエッチ出来なくても平気なのかと思うようになってしまい、もしかしたら他で解消してるんじゃないかなんてバカな事まで思ってしまう。
そして頭に浮かんだのがスイの存在だった。
もちろんレイ君が私を裏切る事なんてないと分かってる。
でも、そんな時にレイ君から今週末にスイと一緒に出掛けることになったと告げられれば気が気じゃなくって、思わず問い詰める口調で「どういうことなのか」と尋ねてしまった。
最初は言い淀んでいたレイ君だけど、私の不安を感じ取ってくれたのか、理由を話してくれた。
聞けば、なんてことはない、寧ろ感謝するようなことだった。
二人はもう少しで迎える私の誕生日のためにプレゼントを選びに行こうとしていたのだ。
レイ君は私を気遣ってスイと出掛けるのは取り止めると言ってくれたけど、そこまでさせてしまったら本当に私がレイ君を信用していないかのように思えて、スイとのお出掛けを了承した。
でも、胸のクモリは晴れなくて、その二人が出かけるという当日、私は情けないことにレイ君の後をつけてしまっていた。
そして結論から言えば、二人に何も無かった。
お出掛け自体もお昼を食べて、目的のプレゼント選びを終ると直ぐに帰路に付いていた。
でも、二人の距離感は独特で、手を繋いだり恋人同士のような事はしていないのに、その空気感は恋人同士のようなそれで、楽しそうに笑い合う二人の姿に胸が痛んだ。
私がぼうっと、そんな二人が帰っていく姿を眺めていると、突然後ろから声が掛けられた。
「あれ、どうしたの浮かない顔して」
最近聞き慣れてきた温和な声。
皆と遊んでいる内にすっかり親しくなったコウ先輩が心配そうな顔で声を掛けてきた。
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