第4話 チャンス到来


「レイくん……」


 私が安堵と嬉しさから思わず名前を呟くと、安心させるためかギュとより強く抱き寄せてくれた。 


 バカ男もまさか、ここでレイ君が出てくるとは思っていなかったらしく。一瞬だが怯んだ表情を見せるが、とたんいやらしいニヤついた顔つきに変わると言った。


「いや、ランちゃんが悩んでいるって聞いたから相談に乗ってあげようかと思って」


 きっとこの単細胞バカ男は、レイ君に相談内容を聞かれたくないだろうとでもおもっているのだろう。

 でも、こんな事を隠して余計な不安を煽るような真似を私はレイ君にはしたくない。

 そんな事するくらいなら最初から話したほうが良い。


「名前で呼ぶなって言ったよね。それにあんたに相談したことなんて一度もないし、これからもあり得ないから」

 

 私はそう言うと、躊躇すること無くレイ君にこのバカ男の発言を聴かせた。


 するとドン引きした表情で相手を見て言った。


「キモっ、えっこんなんで誘いに乗る女子いると思うの? これならまだ街でナンパした方が確率あるって。いや、まあ確かに確率的には億千万が一くらいはあるかもだけどさ……普通に考えて、あり得ないでしょう。しかも彼氏居るの知ってての発言なのが尚更質悪いというか、頭悪すぎでしょう、本当よくこの学校入れたよね」


 普段は寡黙なレイ君が信じられないくらい饒舌に相手をする。


 煽りすぎて暴力を振るわれないか心配したけど、相手は怒りより完全にレイ君に呑まれて萎縮しているので大丈夫そうだった。


「……いい、今後絶対僕と彼女も含めて、関わりある人に近づかないでね。もし約束破ったらこの音声と一緒に晒すからさ覚悟しといてね」


 レイ君は散々なじった後、今後の接近禁止を言い放って追い払った。


 そして、バカ男が涙目で去った後、レイ君は私を見て尋ねてきた。


「大丈夫だった?」


 さっきまでとはまるで違う優しい声にキュンとなる。

 私はいざとなったら頼りになる姿にますます惚れてしまい、もう我慢の限界だった。


 それに間接的だけど私が悩んでるのも知られちゃったし、ここは逆にこの状況を利用してチャンスに変えるしかないと思い、思い切って誘ってみた。


「うん。でも、あのさ、悩みがあるのは本当なんだ、だから今週末、相談に乗ってくれないかな私の家で」


「あっ、うん、構わないけど、僕で良いのかな?」


「もちろん! レイ君じゃなきゃ駄目。他の人は絶対に嫌だから」


 他の人なんて、絶対に考えられないから思わず少し声が大きくなってしまう。


「えっと、分かったから。その週末お邪魔させてもらうね」


 私はその返事が嬉しくて思わず抱きついてしまう。そして耳元でそっと囁いた。


「ありがとうレイ君。大好きよ」って。



―――――――――――――――――――


読んで頂きありがとう御座います。

そしてまだ触りの部分ですが評価して頂いた方には感謝を。



今後の創作活動のモチベーションにもつながるので。


☆でも☆☆でも構いませんので評価してもらえると嬉しいです。

もちろん☆☆☆を頂けたらもっと、もっと喜びますので、どうかよろしくお願いします。




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