第2話 告白の行方


 私はスイに宣言した通りレイ君に告白した。


 正直、レイ君もスイの事が好きだと思っていたので断られるかと思っていた。


 それに、私もまあ告白されたりしてモテる方だとは思うけど、スイは別格だったから。

 正直芸能人と言われても信じてしまう美貌。

 だいたい、ほぼスッピンで姫さまカットが似合う黒髪美人なんてレアな存在。スイに出会うまでは本当に存在するなんて思ってもいなかった。


 私が勝っているのなんて、精々胸の大きさ位である。


 だから、この告白は私の気持ちに区切りをつけるためのもの。


 スイにはあんな事言ったけど、内心では分かっていた。レイ君の隣に居るべきなのはスイだって。


 二人の間にどんな約束があったのか知らないけど、さっさとくっついちゃえば良いのにというのが正直な私の気持ち。



 だから、まさか、レイ君から返ってきた言葉が、


「これから、彼氏として宜しくね」


 なんて想像していなかった。


 だから思わず聞き返してしまった。


「えっ、私で良いの?」って。


 そんな私の言葉を聞いて、凄く楽しそうにレイ君が笑って頷いてくれた。

 私はその姿を見てようやく実感した。


 私がレイ君の彼女で良いんだって


 そう思うと思わずガッツポーズをしてしまって、更にレイ君には笑われたけど、その事が逆に嬉しくて。

 ついつい付き合った記念などと称して色々と一緒に写真を撮って私の大切な記憶として収めた。


 それから告白が上手く行った事はスイにも報告した。


 どういう反応を見せるのかとおもったら、本当に嬉しそうに祝福してくれた。


 まあ、祝福の言葉が「レイ君を幸せにしてね」っていうのは相変わらず疑問で、腑に落ちなかったけど、喜んでくれてるのは本当の気持ちに思えた。



 それからは彼氏彼女らしく、クラスでも程々にイチャイチャしつつ、放課後は二人っきりで過ごしたりして、たまにスイも交えて遊んだりもした。


 スイは言葉通り、私とレイ君がイチャついていても嫌な顔一つせず微笑ましく見守ってくれていた。


 レイ君も幼馴染の友達としてスイの事を気に掛けることはあるけど、三人の時はさり気なく私の方を優先してくれて、それが少しだけ私の優越感を充たしてくれると共に、改めて私で良いんだと安心させてくれた。



 そして、私達が付き合い始めて三ヶ月たった頃。


 レイ君との付き合いは順調そのもので、それこそ毎日が楽しいと思わせてくれる。


 今まで誰かと付き合ったことなんて無かったけど、他の女子が恋愛にハマるのも納得だ。


 だけど、ひとつだけ悩んでいることがあった。


 それは、関係をもう一歩先に進めたいなんて欲求が私にも生じた。


 最初は怖さが先にあって、くっついたり、抱き締められたりするだけで満足していたけれど、始めてキスをした時から少しづつ私の中の感覚が変わった。


 レイ君とのファーストキス。

 デート帰り、夕暮れの公園で交わした本当に好きな人とのキス。それは今まで感じた事がないほど幸せで、思い出しただけで呆けてとろけてしまう位に甘かった。


 だから、思ってしまった。

 これから先に進めばどれだけ幸せで、もっと凄い事になるんだろうかって。


 実際、経験済の他の友達に聞いたら、好意的な意見が多かった。

 ただ、最初はめっちゃ痛いらしいけど、それを差し引いても私はレイ君との関係を進めたいなと思うようになっていった。


 本当ならスイにも相談できたら良かったけど、流石に気まずさのほうが強く、相談できなかったのはしょうがなかった。

 



 


 

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