第9話 転機

 夏休み開けの久しぶりの学校。

 友達から色っぽくなったと褒められた。

 元々大きめだった胸も散々レイ君に弄られたせいか更に大きくなり、いまではHカップだ。

 そのせいか以前にも増して声を掛けてくる男子が増えた。

 まあ、レイ君しか興味のない私は全て断るか、無視した。


 中には放課後の第二校舎裏に来てくれなんて誘いもあったけど、そんな人気の少ない所に知らない人間から呼び出されても、怖すぎて行くわけが無いと思うのだけど。


 そんな事もあり、私としては断るのもそれなりに気を使うので、レイ君に相談した。

 もっと周囲にカップルとしてアピールしたいと。


 そうすれば、付け入る隙が無いと分かって無謀なチャレンジャー以外は声を掛けてくる男子が減ると思ってだ。


 レイ君も、私が男子から声を掛けられている事は快く思っていなかったらしく承諾してくれて、私達は晴れてバカップル街道を驀進する事になった。


 おかげで作戦は成功し声を掛けてくる男子は減った。何故か今度はレイ君が女子から声を掛けられる事が多くなったけど。


 どうやら、今まで目立たない立ち位置に居たレイ君が、私とのバカップルぶりでおおやけになり、今更ながらレイ君の魅力に気付いた女子達が声を掛けるようになったみたいだ。


 私としては彼氏が評価されるのは嬉しいことではあるし、ぽっと出の女子に取られるなんて微塵も思っていない。

 だけど、やっぱり多少なりとも嫉妬はするわけで、そんな時はより一層激しく抱いてもらって、レイ君の一番だということを刻みつけてもらったりもした。


 結果、バカップルぶりは加速し、本当に朝から晩まで一緒に居ることが当たり前になった。



 でも、そんな関係も、秋を迎えた頃に変化する。


 レイ君とスイがそれぞれ生徒会の役員として推薦されたのだ。


 どうやら、推薦した前生徒会長とは中学の時からの知り合いで、熱心に頼まれて断れなかったらしく二人共生徒会に入る流れになってしまった。


 中学が違った私には知らない交友関係。

 私が知らない時間を、幼馴染として二人だけで共有しているように思えて少しだけ寂しくてなる。

 もちろんレイ君が私との今を何より大切にしてくれているのは分かっていても……。



 そこから生徒会のある放課後は一緒に過ごせない時間がどうしても出来てしまうようになった。


 頭では分かっているし、今更レイ君がスイとどうにかなるとは思っていないけど、二人で仲良く生徒会に向かう姿はやっぱり私をモヤつかせ、チクリと胸を突くような痛みを感じるようになっていった。


 


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