第19話 呼び出し
生徒会の活動を終え、スイと軽く話しながら帰り支度をしているとランからメッセージが来ていることに気が付く。
『放課後、時間があるなら家に来て欲しい』
『大事な話』
『出来ればスイも一緒に』
スイも一緒にと言うのが気にかかった。
いつものお誘いならスイは呼ばないはずだから。
でも、僕は問題ないとしてスイの方は分からない。
だから何気なく尋ねる。
「スイ、ランが話があるから家に来てくれって」
「んっ、私もなの?」
「うん、大事な話らしい、時間があるならお願いできないかな」
「そう、放課後はユカリさんと久井那先輩から誘われていたけど断っておくわ」
「えっと良いの?」
「だって大事な話なんでしょう。それに家に呼ぶってことは他の人に聞かれたくないような事よね」
どうやらスイは、先輩達と約束があったようだけどランの方を優先してくれた。
スイの同意を取り付けた僕は、今からスイと一緒に向かうからと。ランに返信しておく。
メッセージはすぐに既読になって『ありがとう』とだけ返ってきた。
それから僕とスイはランの住むマンションへと向かった。
いつものようにスイと横並びに歩いて行く。
スイとは色々あったけど今も幼馴染の関係を保っている。
でも、ただの親友と言い切るほどお互いに割り切れていなくて、だからと言って今更恋人関係に戻れるとも思っていない。
なにより、今は間違いなくランの方が僕にとっては大切な人だ。
実際、ランと居る時は楽しくて、賑やかで、いつも投げ掛けてくる好きという感情が心地よい。
なによりスイの事で臆病になっていた事もランが全部払拭してくれた。
そのせいで羽目を外しすぎて夏休みは、自分で言うのもなんだけど酷かった。
その夏休みの感覚が抜け切れなったせいで、二学期の前半も正直爛れていた。
スイにもやんわりと注意されれいたのに本当に申し訳なかった。
でも、ランから誘われるとどうしても歯止めが効かず、互いに暴走してしまう。
だから、ユカリ先輩から生徒会に誘われたのは、お互いに冷静になるいい機会だと思い、生徒会に入ることにした。
驚いたのはスイもユカリ先輩から勧誘されていたことで、図らずも一緒に生徒会へ入ることになった。
それからは、お互いに少し落ち着くかとと思った。
実際、ランも少し様子が変わったので尋ねてみたら、いつの間にかユカリ先輩と仲良くなって放課後に会うようになっていたらしい。
ただ、それも些細な変化で根本的なものは変わらなかった。
その結果が中間テストに現れた。
僕はなんとか凌いだけど、ランは散々だった赤点は免れたけど大きく成績を下げた。
なんとか期末テストでは成績を取り戻そうと頑張ったけど、僕達が二人きりになると色々と歯止めが効かなくなる。
だから期末テストも、同じような結果にするわけにはいかないので、断腸の思いで期末テストが終わるまでの間、ランの部屋で過ごす事を禁止にした。
初めのうちはランも我慢できなかったのか、それとなく誘って来ることがあった。
それを僕も我慢して断っているうちにランも分かってくれたのか落ち着くようになって。
それから、更に変わったのは夕方の公園でキスをされた時から、翌日連絡が取れなくて心配したけど、その日を境に勉強にも集中するようになっていって。求められないのは寂しけど、期末テストは大丈夫そうだと安心もした。
そんな中で、ランの誕生日だけは特別で、やっぱり一緒にいたくて、それはランも同じだったようでその日だけは特別に約束を反故にして朝まで愛し合った。
際限なく僕に甘えてくるランは本当に愛らしくて、僕はランの事が益々好きになって行った。
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