第26話 自業自得


 私がスイとの約束にあたって、細かい取り決めを交わす。


 まずは期間は四ヶ月。

 それは私が先輩に抱かれた日数では無く、レイ君に嘘を付いて騙し続けた期間。


 私を試すのは週末のみ。

 場所は私の部屋。


 そして私が耐えないといけない事、それは……。


「ラン、アナタにはレイと同じ苦しみを味わってもらうわ」


 そう告げたスイに私は頷く。

 当然だと思った。

 私は何よりも大切だった筈のレイ君を裏切って傷付けたのだから、それ相応の罰は受けるべきだと。


「そう、覚悟は決まったみたいね」


 スイが私の目を見て、覚悟を感じ取ってくれたのか微笑む。


「それじゃあベッドルームを借りるわね」


 しかし、その後告げられた言葉に疑問が浮かぶと同時に嫌な予感と冷や汗が同時に吹き出る。


「なんで、そのベッドルームで何をするの?」


 私は恐る恐る尋ねる。


「さっき言ったことよ、私は親友として慰めるのよ傷付いたレイの心を、それこそパートナーに浮気されて精神的に傷付いた男の人は最悪勃起障害を起こすことだってあるらしいから、そのリハビリも含めてね」


 スイが今まで見せたことの無い妖しく艶のある表情で微笑む。


「うそっ、それってエッチするってこと?」


「ん? それの何が悪いの、私はあくまでも親友としてよ、恋愛感情ではなく、ただの親切心からの行動よ」


 どう取り繕っても無理が有る。

 だいたいスイがレイ君への想いを燻ぶらせてるのは私も感じていた事だ。


「嘘よ、スイはレイ君の事が好き、だからこの場を利用しようとしてるだけでしょう」


「違うわよ、何度も言っているけど私は親友として慰めるだけ、それこそアナタがやったように恋愛感情なんて持たずに、ただ体を重ねて慰めるだけよ、まあアナタの場合は自分の欲求を解消するためたったけど、私はあくまでもレイの為よ」


 スイにそう言われて、何も言い返せなかった。

 そしてまた気付かされる。

 結局、いくら私が恋愛感情が無かったと主張した所で第三者から見れば真意なんて分かりはしない。

 だって恋愛感情が無かったなんて事は私自身しか知りようのない事だから。

 だから、スイが例えレイ君に想いを寄せていても、あくまでも親友として「恋愛感情は無い」と主張されてしまえば、どんなに黒でもグレーにしかならない。


 つまり、私が何と言ようが、結局レイ君に私の真意は伝わらない。まして裏切って浮気した相手を信頼出来るはずもない。

 そんな単純な事にさえ私は気付けていなかった。


 つまりこの状況は自分のしたことを再現し、そのまま自分に返ってきているだけ。

 正に自業自得の悪因悪果。


 私は何も声を掛けれないまま、私とレイ君が散々愛し合ったベッドルームに、二人が向かうのを見送るしか無かった。




―――――――――――――――


根気よく読んでくださってる読者様ありがとうございます。



誤字報告ありましたので修正しております。

報告ありがとうございます。


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