第16話 満たされている時

 結局、先輩には朝まで欲求解消に付き合ってもらった。


 先輩は言うだけの事はあり、最後まで満足させてくれた。


 ただ、確かにエッチは上手だし、アソコもレイ君より少し大きかったけど。

 結論から言えば、断然レイ君としているときの方が気持ちよく満たされる事が分かった。

 アソコだって大きいから良いっていうものでもないらしく、私には少し圧迫感が強すぎて、やっぱりレイ君の方が一体感があった。


 つまり、体は確かに気持ちよくて快楽で満たされるけど、それだけだ。

 いうならオ◯ニーの延長みたいなもので欲求を発散するためだけの行為だと割り切れた。


 それが逆に罪悪感を薄れさせもした。


 実際、抱かれてみても先輩に情が湧く事はなかった事も後押しした。

 何回戦目かの途中、一度先輩が約束を忘れて私にキスしようとしたら、嫌悪感の方が強く顔を背けて拒絶してしまったくらいに。

 きっと私としては、その一線を超えないことが自分の中で勝手に決めたボーダーラインになっていたのだと思う。


 こうして事が済んで冷静に考えてみると、私に利点が少ないように思えるが、肉体的に満たされた私は、確かに精神的に安定していた。


 昨日見た公園の二人を思い返しても焦燥感は無く、ただの友達同士のやりとりだと思えるようになっていたし、今ならレイ君とスイが二人で出掛けても信じて待っていられるだろう。


 というわけで、体は疲れていたけど、精神的には平常運転な私は帰り支度をする。

 一方の先輩は「流石に疲れたから」と言って、ホテルで寝てから帰るとの事だった。

 ホテル代は先輩が払うからと言ってきたが、私としては線引の意味でもホテル代は折半したかった。ただこういうホテルの料金システムは良くわからなくて、結局一泊分の宿泊料金の半分を置いてホテルを後にした。


 その後は電車に乗って何とか家まで帰ると、部屋についた途端、眠気に一気に襲われ気付けば夕方になっていた。


 慌ててスマホを確認すると、レイ君からメッセージが届いていて、連絡が付かなくて心配しているようだった。


 すぐに折り返してメッセージを送り、合わせて声が聞きたくて電話もした。


 話が出来たのは嬉しかったけど、言い訳として朝方まで勉強していたと嘘をついてしまった時は、なぜだか罪悪感に襲われた。


 そして私はその罪悪感の理由も分からないまま、その後も先輩を使って欲求を解消し続けた。


 唯一の例外だったのは誕生日の時。

 なんの意図があったのか知らないけど先輩にも食事に誘われた。

 でも私の特別な日は特別な人と一緒に居たかったから即決で断った。

 レイ君もその日だけは特別に朝まで一緒に居てくれて、先輩のときとは違う、本当に愛し合う事が出来る喜びを実感した。


 そんな特別な日の後も、最優先がレイ君なのは変らないままに、先輩との関係は続いた。

 勿論、会うのは時間が空いた時だけで、天秤にかけるまでもない。

 ただ、その空いた時間でも効果はあったようで、欲求不満から解消された私は勉強にも集中出来るようにもなった。

 そんな中でもひとつだけ気になることがあった。それはユカリさんの私を見る目が変わったような気がしたことだ。


 一瞬、秘密厳守という約束が破られたかと心配してしまう。

 でも表向きの態度が変わったわけでもなく、ユカリさんがレイ君に何かを言うような素振りもなかったので気のせいだと思うことにした。


 そして、何より肝心なレイ君との関係はというと、先輩との関係が対比的となって、誕生日に感じたように、心身共に満たしてくれるのはレイ君しかいないと実感させられた。

 だからこそ、より一層レイ君への気持ちが深まり、学校内でのバカップル度を更に加速さた。それこそ校内のバッカップルオブ・ザ・イヤーを受賞する勢いで。




―――――――――――――――


 NTR表現について個人的な見解です。


 私個人としては、気持ちや、体が相手に靡いてないのなら寝取られとは思いません。

 薄い本などでよくあるパーターンの無理やりから次第に体は気持ちよくなってなんかも、結局は体が相手に靡いていってるわけですし。


 今回の状況に関しては性別を入れ替えて捉えると分かりやすいかもです。


 相思相愛で大好きな彼女がいながら、欲求不満からセフレを作る彼氏。

 彼女を相性も良く一番に思いつつも、セフレともそれなりに楽しむ。


 これって寝取られでしょうか?


 ただのクズですよねw



 ただ、そうは言っても読者の中には浮気して肉体関係を持った時点で寝取られと感じる方もいることは知っています。

 これは、個々の感じ方や見解の違いなので、他人がとやかく言うことでは無いとも思っています。


 ですから今回の作品は、私的には違うけど「人によってはNTR」という表現にさせて頂いております。



 それではこれからクズに成り下がったヒロイン?がどうなって行くのか、楽しみにしていただけると嬉しいです。

 

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