第7話 大切な記憶
私の初体験は思った以上に凄いことになっていた。
無事に貫通式、もとい処女をレイ君に捧げ、心身共にひとつになった。
私は本当に心が満たされているのを感じたけど、レイ君には少し遠慮というか陰りが見えた。
もしかしたら、処女だったこともあり、レイ君を満足せてあげられなかったのではと焦って、思わず聞いてしまった。
「もしかして、満足出来なかった?」
かなりデリカシーのない質問だが、私としては足りないなら、満足するまで抱いても構わないという意味合いも含んていた。
レイ君は私の問に、困ったような表情を浮かべると言った。
「うん、やっぱり隠し事は良くないよね」と言って、話してくれた。
その内容はというと……。
どうやらレイ君は昔付き合っていた彼女とそういう事をした際、タガが外れてしまい、最後は彼女が泣き喚いてしまう事態になり、その後気まずい関係になってしまったというものだった。
話自体は脱童貞君の失敗談みたいなものだが、結構私にはチクリと胸の痛む話だった。
だって話を聞いて私が頭に思い浮かんだのはスイの顔だったから。
するとさっきまで満たされていたはずの心にモヤがかかる。
私はそんなモヤを払拭するようにレイ君に告げた。
「私なら受け止められるよ、レイ君の事全部。だって愛しているから」
私は自分の言葉を、誰よりもレイ君のことを好きだと証明するために、レイ君の上に跨る。
そして直接、レイ君のまだ硬さの失われていないモノを受け入れた。
薄い膜で隔てていた時とは違う生々しい熱を帯びた感触が私にも伝わる。
「えっ、流石にマズイよ」
レイ君も気づいたらしく、離れようとする。
そんなレイ君に私は耳元で囁く。
「大丈夫だよ、私ピル飲んでるから」
実際、私は生理が重く低用量ピルを常用しているので妊娠のリスクはかなり低い。
というかゴムを使おうが妊娠のリスクはゼロにならないのだから、責任の取れないうちにこういう行為は控えるべきなのは頭で分かっていても、気持はどうにも抑えきれない。
「それに、だいぶ馴染んできたから、きっと相性が良いんだね私達」
強がってそうは言ってみても、純潔だった証は血を流しているわけで痛まない筈はない。でもそれ以上にもっとレイ君に私を刻み込みたくて、刻み込んで欲しくて無理して腰を動かす。
レイ君はそんは私の覚悟を察してくれたのか、一度私の動きを止めると強く、キュッと抱きしめる。
「ありがとうラン。君と愛し合うことが出来て幸せだよ」
そう言って唇を重ねる…………。
それからのレイ君は、まさに羊の皮を脱ぎ捨てたケダモノだった。
正直、前の彼女が泣き喚いたのも納得する。
でも、私とレイ君は本当に相性が良いのか、何度も行為を重ねる内に痛みすら気持ちよさに変わり始め、最後の方には頭が真っ白になって、何も考えられなくなるまで飛ばされた。
そうこんな凄い初体験。
きっと、友達に言った所で信じてもらえないだろう。まあ、言うつもりもないけど……だってこれもレイ君と私だけの忘れられない大切な記憶だから。
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