#7/9 #肯定 #アイビーゼラニウム

 寝落ちから目覚めた後、携帯をのぞくと


――明日、予定ある?

と両手を握ったきらきら目の白熊のスタンプ。


 その二つがわたしの目に飛び込んできた。寝ぼけた頭が一気に覚醒する。

 明日、は今日になってしまった。そういえば、ひまわりを見に行く約束をどうするか決めてなかった。そのことだったらどうしよう。

 あわててスケジュールの予約注文を確認して、文字を打ち込む。


――ごめん、寝とった。今日は忙しいけぇ、できたら来週がいいな


 ぽす、と軽快な送信音を聞き、ひと息ついた後に気が付いた。

 空がまだ真っ暗な朝四時。太陽も寝ている中、着信音が響いたに違いない。

 送信を取り消しても意味がないし――ええ、うそ。既読になった。

 トーク画面を信じられない気持ちで見ていると、吹き出しが増える。


――おはや

と昨日の夜と一緒のきらきら白熊


 きっと、音無くんは寝ぼけてる。そうだよね、四時だもんね。眠たいよね。申し訳なさとぬけた返事に反省と和んだ気持ちがないまぜだ。

 一呼吸おいて、手短に送る。


――朝早くにごめん

両手を合わせたペンギンを送る。


 一瞬も待たずに既読がついて、瞬く間に文字が飛んでくる。音無くんも文字を打ってる最中だったみたいだ。


――夢かと思った。楽しみにしてる

大丈夫大丈夫とうなづく白熊スタンプはにこにこ顔だ

 おはよ、とていねいに挨拶も送りなおしてくれる


 もう、何でこんなにも全肯定かな?! いい人すぎん?! 詐欺に合うんじゃないかな?!

 心苦しくて、また学校で話そうと打ち込む途中、彼からの吹き出しが増えた。


――でーと


 その文字の後には何も続かんかった。たぶん、二度寝したんだ。そうだよね、朝早いもんね。

 でも、心臓に悪いけぇ、そこで終わるのやめよ?



𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒


7月9日(日)


誕生花:アイビーゼラニウム

花言葉:真実の愛情


 今日はうちにもある花だ。白い花びらの中心からピンクの筋がひろがるものや、あざやかな赤紫のものが咲いている。

 愛に真実と嘘があるのならと考えて、少しだけぞっとした。




 

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