音無くんの溺愛はつたない #文披31題

#7/18 #占い #モスローズ

「日向（ひなた）、今日の占い一位だったよー」

　挨拶もそこそこに言われたことに、あいまいに笑って返した。

　お天気の後に流れる占いだし、やっちゃんもラッキーアイテムが面白いけぇ見てるだけだから、あまり期待しとらん。

「愛の告白するなら、絶対、今日がオススメなんだって」

　けらけら笑いながら言ったやっちゃんは机の落書きを消しとる。からかってるでしょ、絶対。

「獅子座は？」

　横からの声にちょっとびっくりした。

　やっちゃんなんて、目を白黒させて、うさんくさそうな顔を音無くんに向ける。

「音無、興味あんの？」

「……ぼちぼち？」

　やっちゃんに合わせて首を傾げる音無くん。かわいいけど、その言い方はあまり興味がないんじゃないかな？！　どーして会話に入ってきたん。

「獅子座は七位？　ぐらいだった気がする。せっかく生まれ月なんにね」

「え、音無くん、今月、誕生日なの？！」

　こくりと表情を変えずに、音無くんは頷いた。

「七月三十一日」

　びっくりした。まさか、母さんの出産予定日と一緒だなんて。そんなこと、ありえる？　あ、でもあくまで予定だから同じ誕生日になるとは限らんよね。

「夏休みだから、祝ってもらえないね」

　やっちゃんの言葉を聞いて、気付かされた。そうだよね、夏休み中だから、さみしいよね。赤ちゃんもそうなるのかな……。あ、でも、直接は無理でも、携帯なら、

「お祝いのメッセージ送るね！」

　ね、とやっちゃんにも同意を求める。

　やっちゃんが半眼で見てくる。なんで。

「音無のアピールって回りくどい」

「アピールしてたの？」

「……聞かなかったことにして」

　やいのやいのとやってるわたし達に、楽しみにしてると言い残して音無くんが自分の席に行く。

「占なわなくても、７月３１日（たんじょーび）はアイツが一番幸せだと思うよ」

　なんて、やっちゃんは半笑いで言ったけど、誕生日に幸せじゃない人っている？

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７月１８日（火）

誕生花：モスローズ

花言葉：愛の告白

　ばらにもいろいろな種類があるんだなぁと『モスローズ』を調べた。牡丹みたいに幾重にも花びらが重なりあったかわいい花が出てくる。

　愛の告白が成功するなんて言われたけど、する相手なんて……いやいや、音無くんはその時、会話に入ってきたからで……うん、気になっとるだけ、気になっとるだけだから！　告白するとかレベル高すぎるから！