#7/17 #砂浜 #ばら(ピンク)

 父さんから来た『母さんが危ない』というメッセージは、手伝いに来てくれている叔母千晴ちゃんに一笑された。


「微熱ぐらいで慌てすぎ。産むときはもっと熱いわよ」


 父さんの『熱が出た』に慌てふためいたわたしはもっと間抜けなんじゃないかな。気まずくて、何も言えない。

 そういえば、音無くんに連絡してなかった。急に家に帰ったのに何も聞かれなかった。でも、きっと心配してるよね。父さんが大げさに言っただけ、ていうオチなのが恥ずかしいけど言うしかない。

 昨晩ぶりにアプリを開いたら、未読のメッセージがたまっていた。音無くんのページを開く。


――もし来週行くなら、ひまわりがくたびれてるらしい。タイミングあわんかったら、来年行こ

 ぱたぱたと手をふる白熊スタンプはまるで気にするなとでも言っているようだ。


 少し笑ってしまってゲームのシロクマにも会いたくなる。昨日は開ける余裕もなかったゲームのアイコンをタップした。訪問履歴の一番町上にある音無くんのホームをのぞく。

 サングラスに麦わら帽子をかぶったシロクマが砂浜のサマーベッドでくつろいでいた。どこかの貴族かな、という気品溢れる姿に、また吹き出してしまう。

 期間限定のアイテムをゲットしてるとは、それなりにやり込んでいるみたい。優雅にジュースを飲むシロクマの横で、わたしのハリネズミがくつろいでいた。勝手に遊び出す仕様とはいえ、うらやましい。


――ひまわり、残念だったけ、どこか行こ?


 昨日のお礼とおわびを入れて、さらに文字を付け足した。

 深く考えずに打ったけど、これ、もしかして、デート?に誘っちゃ、った?


𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒


7月17日(月祝)


誕生花:ばら(ピンク)

花言葉:気品


 気品……気品かぁ。

 気品はなくてもいいから、もうちょっと自然に誘いたかった……ん? 自然ってなんだ?

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