#7/10 #ぽたぽた #ベルフラワー
学校につくと、乾いたコンクリートにぽたぽたと染みができはじめて、本格的に降り始めた。
教室につくと、ざーとどしゃ降りになったと思ったら、しとしとと弱い雨にもなる。今日の雨はじめじめとしたものではなく、気まぐれだった。
「おはよ」
後ろの席で音がする。
今日は背中を向けたまま挨拶をした。素っ気なかったかな、て後悔するけど、照れくさくて音無くんの顔を見たら沸騰してしまいそうだ。
普通って何だろう。つかず離れずのクラスメートの距離感がわからない。だって、この前、席が近くなったばかりだよ?
「今日、水やりしなくてすんだね」
ひとり言のような音無くんの呟きは雨の音に負けそうだ。
花壇への水やりは美化委員の仕事で、わたしは月曜と火曜、それから交代制の土日を担当する。第一土曜日は草取りだ。
今日が担当なんて言ったこともないのに、気付いてくれとったんかな。
「いつもありがと」
雨の音のように静かに響いた。
なんて返そうか、困ってしまう。しゃれたことなんて言う必要もないのに、心臓が耳の横で鳴っているようだ。くちびるを何度か噛んで、情けない声を出す。
「……どう、いたしまして」
「ん」
音無くんのやさしさはジョウロで水をあげているようだ。やさしい雨だけど一ヶ所ばかりそそいでいたら溢れちゃうんじゃないかな。
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7月10日(月)
誕生花:ベルフラワー
花言葉:感謝
今日の会話は朝の時だけだったなと思い出す。もしかして、ぜいたくになったかもしれない。物足りない、と感じしまうから。
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