音無くんの溺愛はつたない #文披31題

#7/24 #ビニールプール #えんれい草

　水やり当番の帰り道、ビニールプールに浮かぶヨーヨーを見つけた。きらきらとゆらめく水の上で互いを押し合っている。

　『おひとりさま、おひとつどうぞ』と書かれたボードから目線をあげると、文房具屋さんだった。

　ちょっと覗いてみようと脚を踏み入れるとカラフルなペンが目に入る。常夏オレンジ、しゅわしゅわソーダ、スイートモンブラン、色の名前が何だかおいしそう。他の気になったペンも試し書きをしてみたら、するする書けて楽しくなる。

　列ごとに分けられて並ぶ文房具を眺めてみると、初めてみるものはついつい足を止めてしまう。時間がすぎるのも忘れて、一週する途中、筆ペンを見つけた。朱、緑、青、紫――はっきりとした色のキャップと黒い持ち手が目を引く。その列には、筆や墨汁、すずりや半紙が並べられていた。

　音無くん、部活、頑張ってるかな。人がいない内に書道室をのぞいたら書いたもの見れるかも……あ、でも、迷惑かな。

　やってみたい気持ちとだめだという気持ちが押し合っている。

𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒

７月２４日（月）

誕生花：えんれい草

花言葉：奥ゆかしい美しさ

　聞き覚えのない花を調べてみると、はっきりとした葉にのるのは小ぶりな花だ。つつましく咲く白い姿はそこだけ切り取ったように可憐だ。夏の花のはずなのに、涼しさを感じた。