#7/7 #酒涙雨 #グースベリー

 七夕なのに、雨になったなぁと見上げていたら、横に誰かが立つ気配がした。

 ふり返って首をかしげる。


「どしたん」

「今日は、傘、忘れてない?」


 音無くんもわたしと同じ方向に首をかしげた。

 大丈夫と返せば、帰らんのといつかと同じように聞かれる。


「帰るよ」

「……何、考えとったん」


 立ち上がりかけていたわたしと、音無くんの目がまた、かち合う。


「七夕なのに雨じゃけぇ、会えんのかなぁって」

「……星は雲の上にあるけ、会えるんじゃない」

「七夕とか信じないタイプだ」


 笑ってちゃかしても、音無くんの顔はミリも変わらない。でも、なぜか、それの何処が悪いと空気が読めてしまった。


「一年に一度しか会えんとか、ありえんやろ。死ぬ」


 わたしを見返しながらさらりと言う口は、さっきと同じ顔だ。真面目に聞こえるけど、かなり物騒なこと言ってないかな。

 戸惑いをごまかすためにさっきのノリを通す。


「おおげさだなぁ」

「ずっと一番そばにいれたらな、と思うよ」


 なんで、わたしを見つめながら言うん。か勘違いするやん。



𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒○𓈒𓐍𓈒◌𓈒𓐍𓈒


7月7日(金)


誕生花:グースベリー

花言葉:真の幸福


 幸福かぁ、と探してみて、なかなか見つからない。

 音無くんなら、いつもの顔であたり前のように言えるんだろうなぁ。

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