第12話



 突然やってきた女性に二人はどんぐり眼になる。

その女性は背が高く、足が長く、外の風を連れて来たような長い髪が清々しさを運んでいる。

表情は優しそうであるが、凛として引き締まった感性を漂わせている。

全体的に言えば、そう、ミラノコレクション・スーパーモデルのような日本人離れしたルックスである。


 その女性は、凍りついてしまったような二人に笑いかけ、


「丸山社長はいらっしゃいますか」


 と尋ねる。

二人はやっと氷解して動き出した生き物のように、


「いらっしゃいませ」


 と答える。

そして、綾が瞬時に姿勢を正して、


「丸山は、社長室にいます。すぐに呼んできます」


 と案内しようとしたが、


「社長室は奥のあの扉ですね?」


 女性は、勝手知ったる部屋のように進んで行く。

まるでランウエイを歩くように。

扉の前まで行き、女性はノックし中から返事が返ってくると、


「リンです、お連絡をいただき有難うございます」


 と言う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る