第19話
「よう、タッタリアか? どうよ、そっちは?」
「あ、お久しぶりです、マルセリーノ統括教授」
マルセリーノは目覚まし時計型タイムマシーンの中の無線機を使ってタッタリア医学教授と話をしている。
「酒屋、うまいことやれてるん?」
「ええ、コミネさんが頑張ってくれていますから」
「そりゃ、ええね。リンところの土産屋も上手いこといってるみたいやし」
「そうですね、サエさんもコミネさんも、頑張り屋さんですから。で、どうなされたのですか?」
「うん、あんな、また、お前の力借りたいねん」
「そっちは、うまくいってないのですか?」
「ちゃうねん、ことは進んでる。せやけどな、ちょーっとした邪魔が入ってな」
「邪魔?ですか?」
「うん、ワイのことを必死で探ろうとしてる小娘達が二人おるんよ」
「二人ですか、なるほど、リンさんからそのお話、伺っておりました」
「うん、でね、こともあろうに、その二人はペンギン教とは! 何処の何者かとか探ってはるのよ」
「探っておられるのですか」
「せやねん、リンがこの店来てくれたやん? そん時なんか大騒ぎやで。ペンギン教は色気で人を騙す宗教やって思ってはるんよ」
「酷い宗教ですね」
「そう、酷い宗教やねん。? てか? お前も一緒の星出身のぺペンギンやろが! 酷い宗教っていうな!」
「・・・・・・・。」
「あんなぁ、ワイらは地球人からしたら変な宗教か? お前は医学ばっかりやってきたからな、ちょっとだけ教えたるわ。ええか、地球で言う宗教って何やろ? ほんまはな、宗教って人を助けるもんやないねん。ましてや、その宗教家が人を助けるんでもないねん。人を救うのは神や仏やねん。ワイらの星で言うたら、尽きることのない宇宙エネルギー、や。宗教家も宗教も人を救えられへんねん。せやしな、宗教家も宗教も、やらなあかんことは一つや。人を救える力を持った広大かつ尽きることのない宇宙エネルギーの存在をやな、そこへ導いてあげることなんちゃうかな。この星で言うたら、それが神とか仏っていう存在ちゃうかな?」
「マルセリーノ宇宙理論物理学教授、何故かモリコーネ超宇宙心理学教授からお話を傾聴させていただいたような気分です」
「やかましいわ! あいつのことはどうでもええねん! それでや、あの小娘二人、今以上に変な行動起こすようやったら」
「起こすようでしたら」
「あれ使ってもらわなあかんようになるかもしらへんねん」
「あれ、とは、記憶除去装置アンド/オア部分的記憶除去薬」
「うん、用意しといてくれる?」
「分かりました。コミネさんサエさんには私達のことはバレているので、状況を説明しなくても外出するには大丈夫でしょうから、いつでも言ってください」
「悪いね、ほな、頼んどくわ」
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