第8話



 丸山はノート型パソコンで調べ物をしている。


「朝から勉強熱心やね」


 とぺペンギンが声を掛ける。


「ええ、得意先周りじゃなくて、今、何ができるのか、何をしなければならないのかを考えてみようと思いまして」


「ええことやね、あんまり誰も分かっとらん事やけどね。よーく考えることはな、時としてやで、やたら動き回るよりも近道を導くねん」


「はい、分かります」


「ええ返事やね、まさか二発の左右のフックパンチくらいで、そないに変わるとは思わんかったけど」


「もう、二度と宇宙ボクシング星間3位のパンチはごめんです」


「パンチで分かるくらいでは、まだまだやね。あ、そうそう、あれでも手加減してんで」


「あ、はい、で、ぺペンギンさんは商売とかの経験はお有りなのですか?」


「ないで、だってや、ワイ、星の研究所で宇宙理論物理学の教授、やっててんもん」


「ぺペンギン先生、ですか?」


「そない大仰なもんやないよ」


「そうですか、ぺペンギンさん」


「ドアホ、これは、謙遜、言うやつやろ」


「済みません、ぺペンギン先生。で、ぺペンギン先生」


「何よ?」


 などと会話は続いているが・・・。


 壁に耳あり障子に目ありである。


 扉の向こうでは。

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