第29話
市木清田はPCの前でキーを叩いている。
小説を書いているのではない。
あるコンテストで大賞を得て、大金が舞い込んだ。
生活費に回すのも良い、いや、そうしなければならない。
しかし清田は、その中からほんの少しだけ小遣いとして分けてもらえるよう美咲に頼んだ。
勿論、美咲の性格上、嫌な顔一つも見せずに清田が欲しいと言った金額を渡した。
清田は小説を書く手を止めて、PCのキーを叩いている。
今まで自分を支えてきてくれた美咲へのプレゼントを探すためである。
振り返れば、美咲にプレゼントなど渡したことが殆んどなかったように思える。
小さくても良い。
小さな宝石などをプレゼントしたかった。
PCの画面を見ていると、閉店セールと書いてあるサイトに
覗いてみれば、半額どころか、70%の値引きである。
どれも可愛いデザインだ。
これだ、と清田は思う。
早々にカートに入れようと思い、店の名前を覗いてみる。
ジュエリーマルヤマ。
「マルヤマ・・・丸山。」
と清田は呟く。
「閉店セール・・・。」
再び口を開くと、清田は忙しげに画面に映っているジュエリーマルヤマの電話番号をタップする。
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