第4話 これから、何人でも、お主の近くにいる限り、人が死んでいく

「あちゃー、ついに発動しちゃったか」


 どこからか、スクイアットロが現れた。


「スクイアットロ」


「おいらは前からわかっていたけれど、さすがに本人には言いづらかったかな。

 

ライハイト、久しぶり。


目覚めは、どうだい?」



「ライハイトとスクイアットロは、知り合いなの?」


「まあね。


この子は、異空間で100年も眠りについていたんだ。


だけど、この子は多少の記憶はあるみたいだな」


「初めまして。


あたしは、ライハイトなのです。

偽名みたいなのですが、本名は憶えていないのです。


長い間、樹木の中に封印されていたのですが、目覚めることができました。

あとの二人は、まだ目覚めていないみたいなのですが。


ほとんど、記憶はないので、どうして樹木として封印されていたかは、わからないのです。

ただ、あたしは樹木の魔法が使えるのですよ。


あたしは、何かの魔女だったみたいなのですが、何の魔女かも憶えていませんなのです。


この男の子からは、死に寄せの香りがするのですが、名前はなんていうのですか?」


 死に寄せの香り?

 

「この子は、おいらのパートナーとして選ばせてもらったけれど、いじめ殺しのワンエイスのために、名前がつけられないんだ」


「そうなのですか」


「だけど、ライハイトはどうして、急に目覚めることができたんだい?


誰かに封印を解いてもらったのかい?」


「あたしにも、よくわからないのです。


だけど、目の前にライハイツ様が、血だらけの状態で倒れていたのですよ」


「そうなると、ライハイツが封印を解いたと考えていいね。


やはり、ライハイツも事件に巻き込まれたということ、か」


「はいなのです。


時すでに遅しでしたのですよ」


「しょうがないね。


死に寄せの香りがする人間とずっと一緒にいれば、遅かれ早かれ、事件に巻き込まれていたか」


「何をのんきに話しているんだ!


ライハイツ君が、死んだというのに?」


 俺は、大切な存在を失ったことを知って、怒りが抑えられそうにない。


「死に寄せの香りを持つ、お主のことだ。


これから、何人でも、お主の近くにいる限り、人が死んでいく。


だから、平行世界での両親は、君を避けたのだろう。


お主自身が生きていても、まわりにいる人の命の保証はできない。


これが、死に寄せというものだ」


「そんなわけない・・・・」


 俺は、現実を受け入れたくない。


「ならば、自身の過去を振り返るがよい。


研究員でも、だれでも、殺人事件、自殺、事故死、どれかにあてはまる事件が起こらなかっただろうか?


しかも、何回でもだ」


「ある・・・・・」


 俺は、拳をにぎりしめて答えた。

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