過去編~研究所の記憶~第2話

 俺は、研究所にある学校に通っていた。

 その子供たちは様々な年齢もいたし、中には年齢がわからない子もいた。

 子供たちは、研究所にいる時から髪を切ってもらえないために、髪の毛はみんな長かった。

 髪の色は、ピンク、水色、青、黄色、オレンジ、赤、白、銀、栗色、紫、緑などたくさんの髪の色がいて、黒髪が珍しいくらいだった。


 髪を切らないのか、切れないのかわからないけど、とにかく切らしてもらえなかった。


 研究所学級と言われる、この研究所内での学校は、0歳の段階で小学校1年生の学習を始めるけれど、できなければ、1年留年となる。

 テストに合格できれば進級する形のために、同じ学年でも、年齢は様々だった。


 俺はと言うと、6歳の段階で、中学1年生の学年にいて、同じ年齢の子供はいなくて、みんな年上のお兄さん、お姉さんだった。

 俺は、生まれた時から、一度も留年したことがなく、生まれた時から勉強ができる天才だった。


 そして、体の大きいお兄さん、お姉さんに絡まれることも多かった。


「やば、これが天才の?」


「こいつ、本当に6歳なのかよ?


年齢を偽称しているだけじゃないのか?」


 その度に、俺は我慢できずに言い返していた。


「研究員に言われたんだ、6歳だって」


「また、研究員のせいにしてる」


 そう、俺はお兄さん、お姉さんに笑われるだけだった。

 

 机も高すぎて、俺は足がつかなかいし、自分で座ったり、おりることもできないので、研究員に手伝ってもらうしかなかった。


 俺は、この時から、こんな研究所を抜け出したいと思うようになった。

 同じ年齢の子と、一緒に勉強したいと心から思っているから。

 

 中学1年生のクラスにいて、 不便なことはそれだけじゃなかった。

 制服も、ぶかぶかなものしかなくて、一番小さいサイズが140センチだけど、それでも当時の俺には大きすぎる方だった。

 だけど、これしか着るものがなくて、いつもお兄さん、お姉さんたちにバカにされていた。


 バカにされて、それが悔しくて、いつか復讐してやりたいとも恨みを持つようになっていた。


 学校が終わって、研究員に呼ばれ、俺は電気を出すための特訓を始めていた。

 だけど、なかなか電気なんてでないし、どうやって出すのかもわからなかった。

 

 呪文が必要なのかもわからないし、あってもどのように呪文があるのかも知らない。

 だから、電気が出るように念じるしかなかった。

 だけど、思っただけでは、電気が発動するわけがなかった。


「おかしいですね、電気がでないですね」


「やっぱり、勘違いだったんじゃないですか?」


「そんなことはないはずなのですが・・・・」


 研究員が、言葉を濁していた。

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