過去編~研究所の記憶~第1話

 これは、俺がライハイツ叔父さんと出会う前の話。

 俺は、生まれた時から、「ワンエイスの末路」という研究所にいた。

 一応、クウォーターの子供である、何かしろのワンエイスであることはわかっていても、何のワンエイスかは聞かされていない。


 親はいるらしいけど、会ったことはない。

 今、生きているのかどうかもわからない。


 俺は、研究材料であるがために、名前がないという話があったが、当時の俺は納得できなかったけど、大人たちに反発できるほどの勇気も、力もなかった。

 体の大きい大人に叶わないことは、一目瞭然だから。


 研究所にいる白衣を着た人たちからは、6歳と聞かされた。

 誕生日がわからない上に、本当にこの年齢なのかどうかもわからない。

 

 緑色の髪は、生まれた時から切ったことがなく、アキレス腱あたりまで伸びていて、よく髪の毛に躓いては、転ぶことがあった。


「この個体は、電気を使いこなせることがわかったようです」


「では、明日から電気を引き出せるようにしよう」


 俺は、その時は自分の個室にいた。

 この個体って、誰のことを言っているのかわからなかった。


 なぜなら、この研究所にいる子供たちは、みんな名前がない。

 どうして、名前がつけられないのかわからないけど、俺は心底「名前くらい、つけてあげてもいいのに」と思っていた。


 次の日になれば、白衣を着た一人の男性に俺は呼び出された。


「何でしょうか?」


 俺は、おそるおそる聞いてみた。


「君は、自分の能力を自覚しているか?」


 唐突な質問で、俺は動揺を隠しきれなかった。

 今まで、こんなことを聞かれることがなかったから。


「自覚・・・・していないです」


「そうか。


調べたところ、君は電気の属性を持ってい折るようだが」


「電気の・・・属性?」


 俺は、何のことだかさっぱりわからなかった。

 

 生まれた時から、研究所の個室の中に閉じ込められて、体を調べれるだけの日々の中で、自分自身のこともわかってすらいないのに、何の説明もなしに、能力のことを言われても、頭の中はクエスチョンマークでしかなかった。


「君は、特殊な力を持っているんだ。


だから、能力を引き出せるように頑張っていこう」


「はい・・・・?」


 俺は意味もわからず、返事をした。


 俺は、白い個室に戻る戻ることになった。


 白い個室には、白いベッドがある。


 本棚はあるけど、娯楽みたいなものはなくて、ぜんぶ勉強に必要な本だけだった。

 俺は、勉強というものを強いられてきたせいか、この年齢の子にしてみては、学力が高い方だと思う。

 すでに、ひらがなやカタカナの読み書き、漢字もできていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る