過去編~研究所の記憶~第3話
研究員たちが集まり、俺の体を調べていた。
「やはり、電気の波動を感じるますね」
「ですが、電気が出せません」
「もしかしたら、奥の潜在的な部分で眠っているのかもしれません。
そこは、何としてでも引き出さなくてはなりません」
「ですが、そんな簡単に引き出せるのですか?
呪文とかも唱えられないみたいですし」
「たしかに、この子の詳しい家系図もわかっていませんし、祖父母の情報がないんですね」
「ということは・・・・?」
「我ら、研究所でも、この子には未知な部分が存在します」
「となると、自然的な方法で能力を引き出すことは、厳しい見込みですか?」
「厳しいってことは本来ならないかもしれませんが、正しい呪文もわからない、本人が能力を自覚していないとなりますと、そのような結果になります」
「そうか。
なら、無理やりにでも、能力を引き出せるようにするしかないな」
俺は、大人たちの会話を聞いていたけれど、何のことを言われているのかよくわからなかった。
幼い俺には、難しい内容でしかないのか、俺の方に研究所内での情報が共有されていないから、よくわからないのか。
だけど、いやな予感しかしなかった。
「君は、学校を休学しなさい」
研究員の一人が、俺の目を見て、そう言った。
「え?」
「君は、一度も留年することなく、進学を続けて、年上の人たちに囲まれている状態だ。
なら、一年や二年ぐらい、休学しても何の問題もないはずだ」
「はい・・・・?」
「中学一年生の学級なら、十年は休学してもいいくらいだ」
俺は喜んでいいのか、反応に困った。
「では、明日から休学しよう」
「はい」
俺は、この時は、あいつらに会わなくていいんだという安堵感もあった。
不安になるとしたら、これから、何が起こるのかわからないということだ。
この日から、俺は勉強をしなくなった。
休学が決まったんだし、勉強をしなくていいように感じたから。
次の日になると、研究員に言われた通りに、白い台の上に横になり、ベルトみたいなもので体を巻かれた。
そして、電気が流れた。
俺は、悲鳴をあげた。
「これは、まだ弱い方ですよ」
それでも、痛いものは痛かった。
「まだ、覚醒する様子がありません。
もっと、強い電気を流し込んだ方がいいかもしれません」
電気が止められ、俺は研究員に、体のあちこちに吸盤みたいなものをつけられた。
「お願いです、なんでもしますから、痛いのだけはやめてください!」
幼い俺は、必死に助けを求める気持ちで叫んだ。
「だめだ、能力を覚醒するまでは解放できない。
解放するまでは、電気をひたすら流し込む。
それしかないんだ」
「能力を解放する方法を自力で探します。
ですので、解放してください!」
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