第4話 叔父さん、本当にこんなんで高校行けるの?

 叔父さんと、高校の見学に行ったけれど、叔父さんはトイレにこもって、出てこない。


「叔父さん、学校見学に来たのなら、いろいろ見て回ろうよ」


「見て、回る・・・・?

甥君、目が回っているけど、大丈夫なの?」


「そんなんじゃないわ!」


 叔父さん、本当にこんなんで高校行けるの?


 叔父さんがトイレから出てきて、学校見学に行くけれど・・・。


「甥君、ここは陸軍と海軍の学校なの?

みんな、セーラー服と学ランだし」


「ここが、この学校の制服なの!

普通の高校だから!」


「それに、セーラー服って、海軍はスカーフのはずなのに、どうしてリボンなの?」


「だから、陸軍とか海軍とかじゃなくて、高校の制服って、何度言えばわかるんだ!」


「甥君、僕は海軍と陸軍の制服が着られるなら、海軍の制服であるセーラー服がいい」


「女子はセーラー服で、男子が学ランって、もう決まってるの!」


「甥君、僕はどの高校に行くか決まってないけど、この高校でいいの?」


「君の偏差値的に行ける高校が、そこしかないんだわ!」


 叔父さんといるだけで、ツッコミだけの毎日となる。

 

 学校見学から帰ってくると、どういうわけだが、すごく疲れた。

 学校見学なんか行かなくても、三者面談でも、家でも、叔父さんといるだけで、いつもこんな感じな気がしてくる。


「甥君、僕、異世界行きたい。

学校見学の行き抜きに」


 いやな予感しかしない。


「今日は、やめときな。

おじいちゃんからは、門限が決められてるし」


「僕におじいちゃんは、いないよ」


「俺のおじいちゃん、つまり、君の父親ってこと!」


 こういうやりとりが、いつまで続くんだ?


 何か飲もうかと、俺が冷蔵庫の中を開けたら、見知らぬものがたくさん入っていた。


「叔父さん、これなあに?」


「卵味のタピオカミルクティーと、納豆味のタピオカミルクティー、あとは納豆味のアイスと・・・・」


「何で、変わった味しかないの?」


「甥君は、何なら飲めそう?」


「りんごジュースとか、オレンジジュースかな」


「わかった、キウイジュースね」


「そんなこと、言ってない!」


「果物系がいいかと思っていた。

水道水の水が、いいかな?」


「それは、俺に冷蔵庫の飲み物を飲むな、と言いたいのか?」


「冷蔵庫の中は、僕がたくさん補充しておいたから、これでしばらくは大丈夫そうだね。


納豆が入ったたこ焼きと、

バナナお好み焼きと、

カスタード味のソフトクリーム、

マスタード味のから揚げと、それから・・・・」


「俺の食べれるものが、ひとつもない!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る