第10話 これは、夢ではないようだ

 これは、夢ではないようだ。

 俺には、両親がいることになっている。


 ライハイツ君とは、叔父と甥っ子という関係ではなく、幼馴染という関係になっていた。


 どうやら、向こうの世界で死んだことにより、パラレルワールドに行ってしまっていったらしい。


 俺の名前は、この世界でも存在しないことにはなっていた。

 だけど、俺の名前は、自分で決めたかった。


「父さん、母さん、俺も名前がほしい」


 その一言だった。

 俺の両親が、なぜか青ざめていた。


「お願い、それだけは言わないで?」


「どうして?」


「名前には力があってな、それそのものが呪文になったりするんだ。


だから、母さんは名前がないんだ」


「そうよ。


だから、名前がほしいなんて言わないでね」


 もしかして、そのために名前がなかったの?


 俺がそう落ち込んでいると、リスがどこからか現れた。


「わっ!」


「驚くでない。


初対面では、なかろう?」


「君は、誰?


そして、俺は何者なの?」


「いいことを聞いてくれた。


おいらは、スクイアットロ。


そして、お主が名前がない理由は、名前が付けれない理由は、この名前そのものが呪いに変わってしまうからなんだ。


そして、お主の正体は、いじめ殺しとのワンエイス。


つまり、お主の母親が、いじめ殺しとのクウォーターということになる」


「どうして、君が俺のことを知っているの?」


「おいらが、これからパートナーとなる者で、平行世界に行く前から、お主の母親から説明は受けていた。


ワンエイスで生まれたがために、ワンエイスの末路という研究所で育てられたという話だが、よいか?


お主は、名前を求めてはならん。

自分の名前がほしいかもしれないが、それは災いを呼ぶ。


だから、いじめ殺しとの子供、ハーフ、クウォーター、ワンエイスを含めて、名前がない。


そして、お主は選択肢を迫られる。


そう、いじめっ子を殺すか、いじめ殺しの救済をするか。


そして、おいらはそのパートナーとなるため、お主の選択肢には口だしはしない。

よいな?」


「俺、自分が何者なのか知りたいんだ。


本当の親のこと、そして自分自身のことを知りたいし、どうしてパラレルワールドに来たのかも」


「まあ、すべては簡単な話だが、いいだろう。


契約だ。


これからは、おいらをパートナーとして、一緒に世界を変えていこう」


「君を、簡単に信用していいの?」


「いきなり、信用しろというのも無理な話だ。


よし、君に特典をつけてやろう。


美少女と旅ができるという特典だ」


「特典とか、美少女なんかに食いつかないから」


「お主にとっては、嬉しい特典だと思うがな」

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