スクイアットロの過去編~第三のパートナー~第2話

 めんどくさい子供には、帰り道を教えることにした。

 でないと、誰か助けが来る前に、おいらの耳の鼓膜の方が先に破けそうだったから。


「おいらが、帰り道を教えてやるから、その間に泣き止まんか」


「ほんとう?」


 はいと君が、目を輝かしていた。


「このリスは、言い方きついけど親切なのですね」


「一言余計だ。


それに、おいらはリスという名前ではない。


おいらは、スクイアットロだ。


覚えておくんだな」


「スクイアットロ?


名前、長くないのですか?」


「ライハイトに言われたくないわい。


とにかく、これからはリスではない。


二度言うぞ。


スクイアットロだ」


「ふうん、興味ないのですよ」


「最近の子供は、こーんなに生意気なのか。


全く嫌気がさすし、お別れできる日が待ち遠しいわ。


あとは、事件とかにまきこまれてくれないか?」


 おいらは、腹が立っていき、この子供二人に毒を吐いた。

 ここまで言えば、いくら幼いといえ、反省するだろう。

 おいらが気が立っていることを気づいてくれるかもしれない。


 だけど、そんなことはなかった・・・。


「僕、トイレ行きたい。


漏れそう」


「この空気を読めない小僧め。


トイレなんて、スーパーの店内か、公園の公衆トイレとか設置されている場所じゃない限りないだろう。


人間世界出身なら、そのくらいわかれいっ!」


 おいらも、おいらで、なぜ子供相手にこんなムキになっているんだろうか?



「スクイアットロは、3歳に優しくするのですよ。


トイレに行きたいって言っているんだから、行かせてあげるのです」


「話を聞いてなかったのかい?


トイレはないぞ」


「そんなことないもん!


トイレは、おうちにあるってお母さんが言ってたよ!」


「じゃあ、おうちに帰るぞ!」


 おいらは、二人をト家まで案内した。


 子供を相手にすることは、すごく疲れてくる。

 おいらは身体能力が高いけれど、こんなに精神的に追い詰められる仕事は初めてだ。


「お母さんは?」


「お主のお母さんは、任務決行中だ。


今更、聞くんじゃない。


ライハイツの息子だけあって、相当な天然バカだな」


「ひどいよ・・・・。


そこまで言わなくてもいいじゃん。


僕、トイレのやり方わかんなくて困っていたの。


スクイアットロ、助けて」


 おいらは、堪忍袋の緒が切れそうだったけれど、ここは黙ってはいと君のトイレについていくことにした。


「はー、すっきりした。


ありがとうね、スクイアットロ」


 おいらは、怒る気力も失せていた。


「トイレもできないとか、どれだけ母親という存在に依存しているのか・・・・」


 3歳の子供って、こうゆうものだろうか?

 おいらには、やっぱり理解できないことがそこにあった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る