スクイアットロの過去編~第三のパートナー~第3話

「全く、子供の世話をどこまでしなくてはならんのだ?」


 おいらは、ライハイトの幼稚園の制服を着させていた。

 今時の幼稚園児は、自分で着替えもできないのか?と不満ばかりが募った。


「明日からは自分のことは、自分でできるようになれい」


「そんなの無理なのですよ。


あたしは、まだ子供なのです」


「この前は、立派なお姉さんとか言わなかったか?」


「人の言うことにいちいちこだわりすぎなのですよ。


幼稚園児の言うことを、真剣に聞かないでくさいなのです」


「この前は、子供の話も真剣に聞き入れるなんてこと、言っていなかったか?」


「適材適所という言葉を知らないのですか?


状況で、今、何をするべきなのかいい大人がわからないのですか?」


「お主に言われたくないわい!


ああ言えばこう言うとか、かなり生意気じゃないか。


精神年齢は2歳以下と評価しておこう」


 一発ライハイトに魔法でも飛ばしてやろうかと思ったけれど、いくら選ばれし者でも、どんなに生意気であっても、相手は子供だし、あのお母さんがそんなことは許さないだろう。


「覚えておれ。


いつか、千万倍にして、この怒り晴らしてやるからな」


「ご自由にどうぞなのです。


リスごときのたわごとに、こっちも付き合ってられないのですよ」


「この言葉、どこで覚えてきた?


子供のくせに生意気なあ」


 こうして、ライハイトの幼稚園時代は、このおいらと喧嘩することが多かった。

 ライハイトが精神的に落ち着き始めたのは、小学校に入ってからだった。


「スクイアットロ様、魔法を教えてほしいのです」


 小学校に入学してから、呼び捨てから様付けに変わったけれど、おいらは数年前の恨みを忘れていなかった。


「ほう、その前に謝るべきことがあるんじゃなかろうか?」


「謝るべきことなのですか?」


「数年前に、おいらにさんざんなことをかましてこなかっただろうか?」


「何のことなのですか?」


「とぼけるでない。


おいらと喧嘩したことは、母上様も存じておる。


素知らぬふりとか、許されることなのか?」


「ごめんなのです。


おぼえていないかもなのです」


「あれだけのことを言っておいて、憶えていないとか都合のよい脳みそが出来上がったな」


「あたし、スクイアットロ様と喧嘩したことは、お母さんから聞いたのです。


ですが、あたしはどうして喧嘩したのか、どんな内容でとかは憶えていないのですよ。


ですから、あたしは精一杯スクイアットロ様のためにできること、全部尽くしますのです。


だから、お許しただけませんなのですか?」


「本当だろうか?


信じていいのだろうか?


お主の話」

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