第3話 君の能力は、死に寄せですよ

「ごめんなさい、完全に人違いだったみたいです」


 俺としたことが、人違いだったとか、恥ずかしすぎる。

 だけど、緑髪の人なんて、異世界ならともかく、この世界にいるか?

 それとも、髪を染めているのか?


 だけど、緑髪なんて流行っていないし、染めるやつがいるかと、そいつの髪を眺めた。


「何を見ているのですか?」


「え?」


「あたしの顔に何かついていますか?」


「そうじゃなくて・・・。


知り合いによく似てるなーって思っていただけです。


俺、急いでいるからこの辺で」


 俺が、その場を去ろうとした瞬間に、右腕をつかまれた。


「待つのです」


「え?」


 女の子に触られたことなんてないから、俺は反応に戸惑った。


「どこに行くのですか?」


「行くって、人を捜しに」


「それって、ライハイツ様のことですか?」


「なぜ、ライハイツ君を知っているの?」


「やっぱり」


 ライハイツ君と、何か関係があるのかな?

 そう思って聞いてみることにした。


「君と同じような緑の髪を持つ、ライハイツ君を見なかったですか?


トイレに行くと行ったきり、帰ってこなくて」


「帰ってくるわけないじゃないですか。


ライハイツ様なんて、最初からいないのですから」


「いない?」


 緑髪の子は、俺の腕をそこで離してくれたけど、俺は逃げる気にならなかった。

 話の続きが気になってしょうがなかったから。


「あたしは、ライハイツのいとこである、ライハイトと申しますのです。


君は、パラレルループという、能力をお使いにならなかったですか?」


 ライハイツのいとこの、ライハイト?

 どこかで聞いたことあるような気がするけど、そんなことより、こいつが何者なのかを問い詰めよう。


「君は、何者なんだ?


なぜ、パラレルループのことを知っている?」


「そのような質問をするということは、魔女の存在がわかっていないのですね」


「君が何者なのかということと、ライハイツ君がどこに行ったかもちゃんと教えてほしいんだ。


君のことにかまっている時間はない」


 緑髪の子に警戒心が強まっていき、俺はだんだんきつくて、冷たく突き放すような口調になっていった。


「いないのですよ。


いない人を捜して、どうするのですか?


見つけられるわけないのですよ」


「いたよ!


俺はライハイツ君と一緒に学校も行ったし、こうして遊びに行ったんだ!」


「自身の能力を自覚していないのですね。


君の能力は、死に寄せですよ。


君のまわりにいる人は、自殺、事故死、他殺のどちらかの運命が待っているのですね。


別名は、歩く死神なのです。


君のまわりには、必ず事件が起こるのですよ」


 死に寄せ?

 歩く死神?


 俺は、緑髪の女の子の言うことを、何一つ理解していなかった。

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